後半戦初黒星で4位に再転落も… 鷹・工藤監督が明るく前向きだったワケとは?

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

球団記録を更新していた連続無失点イニングは「45」でストップも

■ロッテ 5ー3 ソフトバンク(20日・PayPayドーム)

ソフトバンクは20日、本拠地・PayPayドームでのロッテ戦に3-5で敗れ、後半戦初黒星を喫した。同点で迎えた9回に抑えの岩嵜がエチェバリアに勝ち越し3ランを被弾。痛い敗戦となったが、工藤公康監督は「向こうだって一生懸命やっているんですから、負ける時もあります」とサバサバと、前向きに振り返った。

先発のマルティネスは立ち上がりから好投。4回1死二、三塁でレアードに左翼線への2点適時打を浴び、これが後半戦チーム初失点に。7月14日の楽天戦から続いていた球団新記録となる連続無失点は45イニングで止まったものの、その後は得点を許さず。8回を投げて5安打2失点。11個の三振を奪う力投で先発としての役割を果たした。

ただ、打線はロッテ先発の二木に苦戦。攻略のポイントに挙げていた右腕の立ち上がりでつかまえられず、5回までゼロ行進を続けた。6回に柳田、栗原の連打で追いついたものの、7回1死三塁のチャンスでは甲斐、今宮が国吉の前に連続三振に。勝ち越しを逃すと、9回に岩嵜が痛恨の一発を浴びた。

試合後、工藤監督は「一生懸命投げて、打たれることもあります。岩嵜くんがいま抑えをやってくれていて、その中でも頑張ってくれている。岩嵜くんが打たれたらしょうがない。そういう時もあります」と勝ち越し弾を浴びた右腕を庇った。さらには、被弾した甘くなったフォークに対しても「選択したボールが悪いとは思わない。あそこは振ってくるでしょうし、たまたまあそこに行ってしまっただけ」と責めることはなかった。

安定の投手陣は後半戦5試合全てで2桁三振を奪っている

この日の敗戦が後半戦初黒星となったものの、指揮官はサバサバとしたもの。「勝つばっかりじゃね。負ける時もあります。向こうだって一生懸命やっているんですから、そういう試合もあります。それを引き摺らないで、次に繋げることが大切」と語る口調に暗さは感じられなかった。

ポジティブでいられるには理由もある。とにかく投手陣の安定ぶりが半端じゃない。この日のマルティネスは8回2失点と好投。連続無失点記録こそ止めたが、11個の三振を奪った。後半戦に入っての5試合はチーム全体で14、13、14、12、そして12個と5試合連続で2桁奪三振を記録中。抑えの岩嵜の失点が響くことにはなったが、投手陣の働きが光る。

打線も徐々にではあるが、上昇気配にある。19日の楽天戦での13安打に続き、この日もロッテを上回る9安打を放った。まだ繋がりには欠けるものの、3安打を放った栗原やデスパイネ、中村晃らに当たりが出つつある。新助っ人のアルバレスが未だノーヒットなのは気がかりだが、工藤監督も「今日も繋がりは見せて、というところもあった。打線もちょっとずつ良くなってきているし、次ですよ」と手応えを口にしていた。

ロッテに敗れて、4位に逆戻りとなったソフトバンク。首位のオリックスが勝ったため、その差は再び4.5ゲームとなった。それでも、「5試合終わって3勝1敗1分け。このペースでいければ、いいところまでいけるんじゃないかと思います」と工藤監督は前向きな姿勢を崩さなかった。敗戦の中で指揮官が感じている光明。思惑通りにチームは浮上してくるだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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