ロックダウン

 「ロックダウンのような方策の検討を」-「ロックダウン」がカタカナなのは、ヨーロッパをはじめとする諸外国と違って今の日本にはこの制度がなく、外国語をそのまま借用するほかないからだ。訳語の一例は「都市封鎖」▲全国知事会が政府への緊急提言案に盛り込んだ。新型コロナ感染が全国で急拡大を続け、緊急事態宣言もまん延防止重点措置も見るべき効果を上げていない、人流の抑制に向けて強制力や実効性のある新たな措置が必要-という理屈なのだが▲現行の対策がうまくいかない理由は強制力の有無だけだろうか。「お願いベースには限界がある」。しかし、その“お願い”にしても、言葉や方法の限りを尽くして行われているとは思えない。一昨日もそう書いたばかりだ▲以前「火事場泥棒」と書いた。丁寧な論議や検証を抜きに、政府や行政の側が人々の行動を規制する制度や道具を次々に手に入れることには素朴な抵抗を感じる。「強い制度」の前提には強い信頼関係が必要だ。その信頼はあるか▲真っ先に連想したのは「思うように成績が上がらないから」と、次から次に参考書や問題集を買いに走る受験生だ。雰囲気は伝わるだろうか▲全てを解決する魔法の杖や打ち出の小づちは、おそらく存在しない。だから冷静な議論を望みたい。(智)


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