こんにちは。自称日本一意識低い政治ライターひがし（@misuzu_higashi）です。
8月22日（日）に投開票が実施される横浜市長選挙、注目されていますね～。
ただ、気になっていたことがあるんですよ。
この選挙はIR誘致が争点！？と言われていますが、私の横浜市民の友人は全然IRの話とかしないんですよね。
実際に横浜市民が気になるところはどこで、何を知りたいのでしょうか。
というわけで、横浜市民にアンケートを取り、都民の私が横浜市民の代弁者として候補者全員の事務所に電凸をしてみようと思います！
有権者の方にとっての投票先を決める材料のひとつとなれば幸いです。
横浜市民はどんな人に市長になってほしいの？
横浜市民の友人は次の横浜市長に何を求めているのでしょうか。
有権者である横浜市民3人にインタビューしてみました。
友人M（20代・主婦）の場合
横浜市民歴は？ → 約3年。
横浜市の好きなところ → 中心部以外もある程度発展しているので、買い物や通院に便利。バスや市営地下鉄といった交通網が発達していて車なしで暮らせる。でも私の住んでる区が中心部に近いからかも？
横浜市の嫌いなところ → 中心部に治安の悪いエリアがあるところ。
どんな人に横浜市長になってほしい？ → 第一に市民の生活を考えてくれる人。大きな判断を下すときの第一の基準が「市民の生活」であってほしい。
なるほど。IRで治安が悪くなることを懸念している人が反対派の中にいらっしゃるのは存じ上げていたのですが、既に治安が悪い（と横浜市民に思われている）場所があったのですね。
友人T（30代・会社員）の場合
横浜市民歴は？ → 約6年。
横浜市の好きなところ → 交通の便がよく、都心に出やすい。横浜駅からみなとみらい、元町や山手にかけて出かける場所に困らず便利。歴史とモダンが入り乱れる町並みや店構えが楽しく、散策しがいがある。
横浜市の嫌いなところ → 坂が多い。大抵の買い物は市内で完結できるが、品揃えは都内に劣る。物価が高く全体的に観光地価格。
どんな人に横浜市長になってほしい？ → 自分は「浜っ子」ではないので感じ方が違うのかもしれないけど、IRは重要視していない。超高齢化社や税収減に直面している今、行政サービスや税収増に向けた方策など、具体的・現実的なビジョンを示せる人に市長になってほしい。
多分この友人横浜市のことめちゃくちゃ好きですね。
友人Y（20代・会社員）の場合
横浜市民歴は？ → 市民歴＝年齢の「浜っ子」です！
横浜市の好きなところ → 知名度があり、雰囲気の良い観光スポットが多い。駅直結等の大型商業施設が多く、便利。
横浜市の嫌いなところ → 市立中学校の給食がない。最近税金の使い方について市民の意見との乖離が大きくなってきたような気がする。
どんな人に横浜市長になってほしい？ → 観光だけではなく、子育て世代や高齢者等、市民が長くに渡って暮らしやすくなるような、生活に寄り添う施策を打ち出してくれる人。
最後に生粋の「浜っ子」からのご意見です。給食や税金の使い方が気になるのは長く住んでいる友人ならではですね。
候補者全員に聞く質問内容はこの3問に決定！
以上、横浜市民3人からの生の声でした。
こちらの貴重な意見を踏まえ、電凸して聞く質問を3つ用意しました。
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
→ 3人の言葉に共通していた「便利」。でも面積の広い横浜市ですから、都内で言うところの多摩格差のような問題があるかもしれません。候補者にご意見を伺いましょう。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
→ 既に治安の悪い土地があるということで、「IRを呼ぶとか呼ばないとかの前に今どうにかする」ために何ができるか聞いてみます。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
→ 横浜市長になってほしい人の意見をまとめると、「市民が暮らしやすくなる横浜市にしようとしてくれる人」。
報道が大きくなされているIRとコロナ対応以外で何を打ち出したいのか聞いてみましょう。
横浜市長選挙立候補者全員に質問してみた
それでは候補者全員に電凸スタート！（以下、届出順）
太田正孝（おおた・まさたか）氏
太田氏は横浜市議会議員を11期も経験されている「浜っ子」です。
レトロな雰囲気漂う公式webサイトに掲載されていた電話番号に電話をかけてみます。
すると……優しい口調の女性に丁寧に対応していただき、太田氏の携帯電話番号を頂戴しました。
何度かお互い不在着信を残し合い、インタビューに成功しました！
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
太田氏：何に対して便利かによりますが、役所は閉鎖的で便利ではないと思います。
交通に関しても、細かいところまでバスが出ない等の問題があり、福祉や行政が変わらなければならないと思っています。
例えば、大和市ではバスが通らないところをコミュニティバスという相乗りの車が回っていて、そのような取り組みが横浜市でもできないか考えてみたいですね。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
太田氏：昔と比べて治安が悪化しているのは確かだと思います。交番の数も減少しています。警察力の強化も行いたいのですが、人員も少なくなっている現状があります。市長として働きかけたいと思います。
また、教育の仕方にも工夫を盛り込み、将来的に治安を良くしていくことも考えたいです。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
太田氏：私が市長になったら、暮らしやすくするための姿勢を自ら見せ、市民のニーズに寄り添っていきたいと思います。
私にも分からないことはあります。まずは目安箱のような気軽なものから、市民のみなさんから声を聞く仕組み作りをぜひ行いたいです。
市民目線で物事を考えてくれる人なのだな～という印象でした。とてもお優しい方でした！ありがとうございました！
田中康夫（たなか・やすお）氏
「ヤッシー」の愛称でおなじみの元長野県知事・田中康夫氏。
個性豊かな公式webサイトには残念ながら電話番号が掲載されていなかったので、メールで取材依頼を送ってみました。
ところが8月19日時点で音沙汰は全くありません……。
田中康夫さん、ご回答お待ちしております！
小此木八郎（おこのぎ・はちろう）氏
菅総理も激推しの小此木氏からはどんな意見がいただけるのでしょうか。
公式webサイトに電話番号が掲載されていたので電話をかけてみたところ、文章で質問がほしいとのことでした。
ここまではよくあることなのでメールアドレスを伺うと、なんとFAX希望。令和3年、FAX希望。
選挙ドットコムのFAX番号を受信先にさせていただき、コンビニで50円払って質問等をFAXで送りました。
8月19日時点で選挙ドットコムからFAX受信の連絡はありません……。
小此木八郎さん、ご回答お待ちしております！
坪倉良和（つぼくら・よしかず）氏
今回の選挙がキャラの強さで決まる選挙だったらゼロ打ち間違いなしの坪倉氏。
公式webサイトに掲載されていた電話番号に電話をかけてみたところ、慣れた口調で「XXXX-XXXXにお願いしますね！」と他の番号へ誘導されました。
気を取り直して誘導された番号に電話をかけてみたところ、ご本人とお話することができました！
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
坪倉氏：便利だと思いますね。交通の便がよく、羽田空港にも近いです。
ただ、「便利」の捉え方によります。便利度にも地域差があります。
過疎化が進んで空き家が増えている地域には、路面電車や話題になるような面白いバスを走らせてみても良いかもしれませんね。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
坪倉氏：ちょっと～、私の政策ちゃんと見た（笑）？
私はIRよりも、山下ふ頭を世界一の食の発信地にすることに力を入れたいと考えています。中央市場を移設し、食の学校も設置します。
みんなにとって有意義な場所、そして楽しい場所になることを期待しています。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
坪倉氏：私が市長になったら、悩み事やクレーム、声が上がりやすい土壌を作りたいと思います。
「参考になりました、ありがとうございます」で終わらず、市民が声を上げれば私まで届くようにしたいですね。
とても気さくな方でした。治安は良くしてしまえば悪くなりようがない！ありがとうございました！
福田峰之（ふくだ・みねゆき）氏
数少ないIR賛成派のひとり、福田氏。
「#横浜STARTUP事務局」と名打った公式webサイトに掲載されていた電話番号に電話を何回かかけてみたのですが、何回かけても話し中。
お忙しいようなので問い合わせフォームから取材依頼をしたところ、まさかの福田氏本人から逆電凸されました。めちゃくちゃ焦った。
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
福田氏：インフラについては「充実していない」と思います。
地域差があり、臨海部は便利ですが周辺部には課題があります。鉄道やバスといったインフラを再編整備する必要があると考えています。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
福田氏：横浜市は自治体に警察機能を持っていないため（筆者注：神奈川県警というくくりだそうです）、市長や行政ができることには限界があるんですよね。
ただ、自治体単位で実施しているパトロール等、行政ができることの強化はしていきたいと思っています。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
福田氏：私はデジタル分野に力を入れています。
やりたいことはデジタルでの「おせっかい」。例えば、役所に行って申請をしなくても、プッシュ型で給付金等を受け取れるようにするといったことです。
質問前に「治安維持は市長ではできない範囲もあるけれどどう答えたらいい？」等の確認もしていただき、受け答えもお話される内容も非常にスマートな印象を受けました。ありがとうございました！
山中竹春（やまなか・たけはる）氏
候補者唯一のコロナ専門家らしい山中氏。
「横浜市をコロナとカジノから守る会」と公式webサイトに書かれた連絡先に電話してみると、メール希望とのことでした。
メールを送ってしばらく待っていると、柔らかい雰囲気のスタッフの方から電話があり、インタビューの日程調整をさせていただきました。
しかし日程の調整がなかなか難しく、やむなく電話取材は断念。
代わりにメールでご回答をいただきました！（メール届きました？と電話までいただいてしまいました）
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
山中氏：便利な部分と、そうでない部分とがあると思います。
便利な部分といえば、横浜市には海もあれば、里山や農地もあり、野菜や果実、肉や魚など、少し足を伸ばせば様々な食も楽しめ、遊びにでかけるにも、友達を連れて行くにも魅力的なエリアが豊富で、働く場所もたくさんあり、住環境も様々選択できるので、こんなに魅力のあるものがコンパクトにまとまっていて、本当に便利だと思います。
便利ではない部分は、例えば今回政策で掲げている子育てです。
私も子育てをしていますが、子どもを保育所に預けようと思ったときは倍率が5倍で「待機児童ゼロ」なんてどこの話だ！？と驚きましたし、私の子どもは病院にかかることが多いのですが、その医療費も東京だったら無料なのにと、不便さを感じました。
便利な部分、魅力的な部分は伸ばし、不便な部分は解消していきたいと思います。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
山中氏：治安維持のためには、まずは神奈川県警との十分な協力が必要だと考えています。
市としては、防犯カメラの設置に対して、自治会や商店会の方々からのニーズも伺いますし、振り込め詐欺（特殊詐欺）の被害も続いているので、皆さんが必要とする対策が採れるように、また啓発等の対策に取り組んで行きたいと思います。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
山中氏：「3つのゼロ」を目指します。
第1に、75歳以上の「敬老パス自己負担ゼロ」です。
現在は所得等に応じて利用者負担が生じていますが、高齢者の方が外出する「足」を確保し、いつまでも生き生きと活動していただきたいのです。
第2に、「子どもの医療費ゼロ」です。
0歳から中学校3年生まで全ての児童・生徒を対象に、小児医療費の負担をゼロにすべきです。
第3に「出産費用ゼロ」です。
現在出産育児一時金が42万円支給されますが、これでは足りません。出産の基礎的費用をゼロにすべきです。
これらの政策を通じて、暮らしやすい横浜市を築いていきます。
コロナ対策推しの山中氏のそれ以外の政策について気になっていた方も多いのではないでしょうか？聞けてよかった～！ありがとうございました！
林文子（はやし・ふみこ）氏
IR賛成派で現職の横浜市長である林氏は4期目の当選を目指します。
公式webサイトに掲載されていた電話番号に電話をかけてみたところ、スタッフの方にお取次ぎをいただき、FAXを希望されました。小此木氏に続き2件目の、令和3年、FAX。
コンビニでまた50円払ってFAXを送ってきたところ、〆切ギリギリに選挙ドットコム宛に返事をいただきました！
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
林氏：便利な市だと思います。
日本で最大の基礎自治体でありながら、居住、就業、研究、就学、ショッピング、リラクゼーションなど様々な生活シーンを楽しむことができる都市。
交通・教育・医療・福祉・公園といった生活利便施設と国際的な港湾・観光・商業業務・産業といった中枢機能が集積しており、魅力的で個性あふれる、バランスのとれた都市、です。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
林氏：国債観光MICE都市にふさわしい都市レベルの治安対策と、自治会町内会・学校区単位で取り組んできている地域レベルの治安対策との連携・強化に取り組みます。
IRでの増収を、例えば、防犯カメラの増設や学校教育、広報啓発など、広く横浜市全域の治安対策に効果のある費用に充当し、効果的な治安対策を実施していきます。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
林氏：「横浜のために」「市民のために」コロナ禍を乗り越え、経済を再生し、豊かな市民生活と活気あるヨコハマを取り戻すこと。
未曾有のダメージを与えたコロナ禍を乗り越えていくためには、あらゆる政策を総動員して困難を乗り越えていくことが必要です。
持続可能な都市経営は、市政における総合的な取組により実現されるものであり、決してワンイシューで語られるものではありません。
子育て・福祉・医療・教育から経済活性化に至るまであらゆる分野における政策の実行力が何よりも重要ですので、着実に積み上げてきた確かな実績の基盤のうえにたって、子育て・福祉・医療・教育等の市民の安全・安心の暮らしとこれを支える雇用と経済の活性化に力を尽くしていきます。
IRで増えた税収をむしろ治安維持に使うという発想はびっくりでした！ありがとうございました！
松沢成文（まつざわ・しげふみ）氏
元神奈川県知事の松沢成文氏。
公式webサイトに掲載されていた電話番号に電話をかけると、丁寧にスタッフの方に対応していただき、事前にメールで質問を送った上で電話取材のOKをいただきました。
そして何回かタイミングを逃しつつも、ご本人とお話させていただくことに成功しました！
①横浜市は便利だと思いますか？その理由はなんですか？
松沢氏：交通の面では便利になってきていると思います。
羽田空港も近いですし、高速道路網も整備されてきています。
しかし、西部や南部等、地域によってはまだ不便なところもありますね。
行政サービスの面では、私が市長になったら各区役所に権限をおろして区の行政を独自に行っていただきたいと考えています。
区役所の権限を強化すれば、市まで話を通さずとも街づくりができるようになります。
②当選したら治安維持のために取り組みたいことはありますか？
松沢氏：実は、私は神奈川県知事をしていたときに警察官の実質増員に取り組んでいたんですよ。
警察官OBを交番相談員として配置し、交番に人がいない状況を減らすようにしました。駆け込むこともできるし、雇用創出にもつながります。OBですから、若い警察官の指導もできます。
次は「横浜市長」ができる範囲にはなりますが、ボランティアで街を見回り警備する「ガーディアンズ」を増やして繁華街の見回りを強化しようと思います。
また、空き家問題にも取り組みます。所有者の理解を得て福祉施設等への空き家の転用を行い、犯罪の巣になる可能性がある空き家を減らしていきたいと思います。
③市民が暮らしやすくなる横浜市にするために、IR・コロナ対応以外でどんなことをしようとしていますか？
松沢氏：大きく4つあります。
1つ目は医療です。神奈川県知事時代から受動喫煙防止条例の制定・公共スペース禁煙化等に取り組んできましたが、引き続き課題解決に取り組んでいこうと思います。
2つ目は介護です。これは処遇改善をしないといけないですね。医療と介護、ケアマネージャーと医師の連携も必要だと思います。
3つ目は子育て支援です。「隠れ待機児童」の解消、小児医療費無償化等に取り組みたいです。横浜市も中学3年生までは医療費は無料なのですが、所得制限があったりと東京に劣る面があります。
4つ目は給食です。良い栄養バランスの食事を摂ってもらうことは、格差是正です。経済的に厳しい家庭はお弁当も作れないこともあります。「ハマ弁」は喫食率が20%と低いです。給食は重要課題であり、食育の一環としても重要なものであると考えています。
独自の発想の政策から元神奈川県知事ならではのことまでたっぷり語っていただきました。ありがとうございました！
投票日は8月22日！横浜市の未来のために投票に行こう！
以上、候補者8人の方からお話を伺った結果でした！
今回の候補者の方々、すごく真面目な方が多いのが伝わったでしょうか？
まだ誰に投票するか決まっていない有権者の方は、この記事の内容も含めて投票先を選んでいただければと思います！
また、期日前投票が21日まで実施されています。
コロナ禍で「密」を避けて投票したい有権者の方はぜひ期日前投票をご利用ください。
