トヨタ2台が同一ラップで首位を争う。アルピーヌとグリッケンハウスも接近戦/ル・マン24時間決勝12時間後

 フランス・ル・マンのサルト・サーキットで8月19日16時(日本時間23時)にスタートしたWEC世界耐久選手権第4戦/第89回ル・マン24時間レースは、決勝スタートから12時間が経過し、折り返しを迎えた。

 12時間経過時点では、トヨタGAZOO RAcingの7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が総合トップを走行しているが、各クラスとも上位勢の差はわずかとなっており、接戦が展開されている。

■3番手アルピーヌが単独スピン

 6時間経過時点では7号車のロペスがトップ、チームメイトの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)のハートレーが約85秒差で続き、総合3位のアルピーヌ・エルフ・マットミュート36号車アルピーヌA480・ギブソンのマシュー・バキシビエールは、トヨタ2台から1周おくれという状態。

 雨はまだ場所によっては残っている状況だったが、徐々にドライへと向かっていた。6時間20分すぎ、36号車アルピーヌがインターミディエイトからスリックへと交換。直後に第1シケインでチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19がタイヤバリアへ激しくクラッシュ。LMGTEアマ上位の33号車アストンマーティンも同じ場所でコースを外れ、セーフティカーが導入された。

 ここで2番手の8号車トヨタはピットへと入り、ハートレーから一貴へとドライバーチェンジ。インターからスリックへとタイヤも交換する。7号車もドライバーはロペスのままで、タイヤをスリックへと交換。6時間45分経過時点でリスタートすると、7号車から8号車までのギャップは約65秒となっていた。

 7時間すぎ、36号車アルピーヌのバキシビエールが、バックマーカーを抜く際にオフラインでウエット路面につかまったか、第1シケインで単独スピンからサンドトラップでストップ。マーシャルの手によりコースへと復帰するが、これで3番手の座を708号車グリッケンハウス007 LMHへと受け渡してしまう。

 8時間を迎える直前、LMP2のGドライブ・レーシング25号車アウルス01のルイ・アンドラーデがダンロップシケイン進入で右側のバリアへと激しくクラッシュ。セーフティカー導入となった。

ダンロップシケイン進入でクラッシュしたGドライブ・レーシングの25号車アウルス01・ギブソン

 ここで7号車トヨタはピットインを選択し、コンウェイが2回目のドライブへ。ピット出口の赤信号で足止めされるなか、8号車の一貴が入れ替わりでトップに立つ。解除後、トップ8号車と7号車の差は約4秒。

 8時間44分、スローゾーンが導入されたタイミングで8号車はピットイン。これで7号車がトップとなるが、9時間が経過したところで導入されたスローゾーンの利を生かそうと、7号車は早めのピット作業へ。この間に、またしても8号車が先行した。

 その3周後ろでは、ピットアウトした708号車グリッケンハウスのオリビエ・プラに、36号車のニコラ・ラピエールが追いつき、直接対決が勃発。第1シケインでオーバーテイクに成功したラピエールを、第2シケインではプラが抜き返そうとするシーンも見られたが、アルピーヌがクラス3番手を奪い返すことに成功した。

 その後、36号車アルピーヌと708号車グリッケンハウスは、同一ラップのLMP2トップグループと、総合3番手を争う形となった。

アルピーヌと3番手争いを繰り広げたグリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMH

 9時間半を過ぎ、スティントを伸ばしていた8号車一貴がピットへ。タイヤを交換し、ブエミへと交代する。これでトップに立った7号車もスローゾーンが導入されたことで翌138周目にピットへ。給油のみでコースに戻り、トップをキープした。

 10時間経過直前、木村武史も好走を見せていたLMGTEアマクラス5番手走行のケッセル・レーシング57号車ミケル・イェンセンがテルトル・ルージュ手前のトラック上にマシンをストップしてしまった。

 首位7号車のコンウェイは10時間半を前にピットインすると、可夢偉が2回目のドライブに入った。すぐ背後には8号車のブエミが迫る。

 11時間50分、8号車がピットへ。ハートレーへと交代し、タイヤも交換した。

 ここでレースはハーフウェイを迎えた。途中経過のリザルトではトヨタ2台の差は1分41秒だが、12時間を2分過ぎたところで7号車がピットへと入ると、ギャップは40秒弱へと縮まっている。また、ハイパーカークラスの3番手争いは、アルピーヌと708号車グリッケンハウスが依然接戦を繰り広げている。

12時間経過時点で総合2番手を走る8号車GR010ハイブリッド

■木村武史のケッセル・レーシング57号車はコース上にストップ

 6時間経過時点でトップ5台が同一ラップとなていたLMP2クラス。7時間目にはセーフティカーの影響でチームWRTの41号車オレカ07・ギブソンと、パニス・レーシング65号車オレカが1秒以内でトップを争う展開となった。

 その後、31号車が2番手へと上がりワン・ツーを形成していたチームWRTは、7時間20分すぎに順位が入れ替わり、31号車のフェルディナンド・ハプスブルクがトップに立つ。31号車は、前述のアルピーヌの後退により総合でも一時3番手につけた。

 WRTの2台は秒差でのトップ争いを繰り広げる場面も見られたが、8時間経過時点で導入されたセーフティカーで別の隊列に入ったか、SC解除後は一時60秒程度にまで差が拡大。

 しかしその後、12時間経過時点では首位31号車と41号車の差はわずかに1.7秒となっている。クラス3番手にはユナイテッド・オートスポーツUSAの22号車オレカ07・ギブソンがつけている。

 LMGTEプロクラスは、6時間経過時点では、ハブオート・レーシングの72号車ポルシェを除く7台が同一ラップを走行していた。

 7時間目に導入されたSC明けにはコルベット・レーシングの63号車シボレー・コルベットC8.Rが首位に立ち、数秒差でAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoが続く状況に。このあたりは、ピットタイミングにより順位を入れ替えながらの戦いとなった。

 9時間経過を前に、ピットでの違反のため63号車コルベットに次のピットでの10秒加算という裁定が降りるも、依然トップ5台は僅差の戦いが続く。

 11時間目に入ると、ウェザーテック・レーシングの79号車ポルシェがフォードシケインでクラッシュ。ガレージに入れられている。

 12時間経過時点での首位は51号車フェラーリ。トップ争いはフェラーリvsコルベットという構図になりつつあるが、ワークスポルシェ2台も食らい付いており、後半戦も三つ巴の戦いが期待される。

LMGTEクラスをリードするAFコルセ83号車

 LMGTEアマクラスでは、ケッセル・レーシング57号車フェラーリの木村武史が表彰台圏内で力強い走りを見せていたが、ミケル・イェンセンに交代したあと、テルトル・ルージュ手前のコース上にストップしてしまう。

 星野敏と藤井誠暢のDステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMRは途中、ピットストップ違反により次のピット作業での10秒加算ペナルティが与えられるなどしたが、クラス9番手で走行を続けている。

 12時間経過時点でLMGTEアマクラスのトップは、AFコルセの83号車フェラーリ。以下、TFスポーツの33号車アストンマーティン、アイアン・リンクスの80号車フェラーリと続いている。

 特別枠“イノベーティブ”で参加する青木拓磨のアソシエーションSRT41 84号車オレカは、総合44番手となっている。

 このあと、現地は夜明けを迎える。レース後半も、激しい戦いが予想される。

ル・マン24時間レースが行なわれているサルト・サーキット

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