“仲良し1期生”が創部3年で全日本8強入り 岡山学芸館3年生が後輩に繋げた想い

2019年春に県内初の女子硬式野球部として創部された岡山学芸館【写真:喜岡桜】

2019年春に創部、同年夏の高校選手権は初戦敗退も今年の選抜は8強入り

2019年春に岡山県内初の高校女子硬式野球部として創部され、マネジャー3人と1期生10人で船出した岡山学芸館女子硬式野球部。地元出身者が多い1期生は仲の良さに絶対の自信がある。3年間の集大成として最後の大会に挑み、後輩たちへ想いを繋いだ。

同部は創部から3か月で全国高等学校女子硬式野球選手権大会に出場した。高校の女子硬式野球部は全国にまだ40校程度しかなく、地方予選を勝ち上がることなく全国大会に出場できるためだ。それでも、上級生が名を連ねる開志学園(新潟)に対して6回まで無失点。0-2で敗れたが、選手それぞれが高いポテンシャルを発揮した。2年ぶりの全国大会となった2021年春の選抜大会では、2019年選手権大会覇者の作新学院(栃木)を1-0で制して公式戦初勝利を挙げるなどベスト8まで勝ち進んだ。

「1期生は10人中8人が岡山県出身で、小・中学生のときからの知り合いが集まっています。選手同士での会話が多くて、仲の良さでは他に負けていないと思います」

主将を務める藤本莉央(3年)は1期生の魅力をそう語ってくれた。新型コロナウイルスによる大会中止や休校の影響を受けながらも、苦境や課題を乗り越えられたのは絆のおかげだ。

今年の高校選手権は初戦敗退も全日本選手権で高校勢唯一の8強入り

史上初めて決勝戦が甲子園で行われる今年の全国高校女子硬式選手権。岡山学芸館は7月24日に行われた初戦で花咲徳栄(埼玉)と激突した。大会屈指の好投手・畠木かんな(3年)は低めに投げ込む鋭いスライダーを武器に力投。しかし、0-0で延長タイブレークにもつれ込んだ8回に犠打と犠飛で失点し、0-1で涙をのんだ。打者25人に対して2安打と好投しながら敗れた畠木は「甘く入った球を外野へ運ばれてしまった。抑えられなかったのが悔しい」と大粒の涙を流した。

そして、1期生の集大成として挑んだ全国高校女子硬式選手権(8月7~12日)。選抜大会8強のチームができる同大会で、岡山学芸館はクラブチームを相手に勝利を重ね、出場している高校の中で最高成績であるベスト8の結果を収めた。

「自分たちが積み上げてきた守備。あと少しで届く球にこだわって食らいつく姿を、後輩たちは繋いでいってほしい」と藤本は語った。

1期生はこれからサポート役へまわる。ローテーションを組み、学校から離れた瀬戸内サブグラウンドへ毎日足を運ぶ予定だ。岡山県初の女子硬式野球部の奮闘は続く。(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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