三重国体・障スポ 中止で調整 九州予選の真っ最中 現場動揺「なぜ今さら」

 三重県の鈴木英敬知事が21日、今秋予定していた国民体育大会と障害者スポーツ大会を中止する方向で調整に入ると表明したことを受けて、全国各地のスポーツ界に動揺が広がった。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえての判断のため、長崎県スポーツ界も「残念だが仕方がない」と理解を示しながらも、現場からは「なぜ今さら」「あらゆる事態を見据えて準備していなかったのか」という声が上がった。
 昨年、鹿児島県で予定されていた国体、障スポもコロナ禍で開催を断念しており、中止になれば2年連続。障スポは2019年も悪天候で開催されなかったため、3年連続の中止となる。
 九州地区は21、22日に福岡県内で三重国体出場権を懸けたブロック大会が開催された。「中止の方向で調整」という一報が現場に入ったのは、その試合の真っ最中。代表権を獲得したある競技の監督は「3年生にとっては高校最後の国体。県高総体後、ここだけに向けて準備してきた生徒もいる。実施してほしいのが本音」と語気を強めた。
 仕事と両立させながら県代表となり、本大会出場切符を獲得した成年選手は「やっとの思いでつかんだ出場権。早く判断してほしかった。気持ちは複雑だが、やりきれない」と肩を落とした。社会人1年目の成年選手は「大学までと比べると、ただでさえ試合が少ない。その中で一番の目標がなくなるのは精神的につらい。最後まで可能性を信じて練習を続けるだけ」と言葉を絞り出した。
 障スポ関係者の落胆も大きい。「今まさに全国に向けて練習しているチームがある。“全国で頑張ります”と言っている。何とかやってほしい」「高校3年間、すべて中止なんて…」と再考を求める声が相次いだ。
 県スポーツ協会の荒木健治理事長は「われわれの手が届かないところで決まっている。現場がかわいそうで仕方がない。中止ありきではなく、規模縮小や数週間の延期などは想定していなかったのか」と選手たちを思いやった。

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