雲仙温泉街の避難指示解除 住民ら帰宅 山中亀裂「直ちに崩落ない」

避難指示が解除され、営業再開に向けて店舗を清掃する小松さん=雲仙市小浜町、雲仙温泉街

 大雨による長崎県雲仙市小浜町雲仙の土砂災害で、雲仙温泉街の八万地獄地区から古湯地区にかけての山中で確認された亀裂について、市は23日、「直ちに崩落の危険性はない」などとして、付近住民への避難指示を解除し、ホテルに避難していた約40世帯約90人が帰宅した。金澤秀三郎市長らが温泉街で会見して明らかにした。
 亀裂は今回の大雨で複数カ所に生じたとみられ、それぞれ幅は数十メートル、高さは十数センチという。市が15日に把握し、付近住民に避難を呼び掛けた。県が20日に亀裂周辺(県有地)の5カ所に機器を設置し、状態に変化がないか観測を開始。22日までに亀裂の広がりは確認されなかったため、市が県と協議し、避難解除を決めた。金澤市長は「(亀裂の)地盤の動きは安定し、直ちに崩落の危険はないと思われる」と説明した。
 県は亀裂の観測を継続し、応急策として土のうや仮設防護柵を設置。26日以降に観測機器を増設し、ボーリングして地質構造を調べるなどの本格調査を実施し、治山対策を急ぐ。
 避難解除を受け、古湯地区で営む湯せんぺい店に戻った小松正明さん(70)は「店に被害はなかったが、閉め切っていたのでかなり湿気がたまっていた」と店の扉と窓を全開にして換気。「しっかりと安全が確認されて、お客が戻ってくるのを待つしかない」と山手の方に目を向けた。

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