エンゼルスは投手補強だけではダメ 移籍情報サイトが指摘

日本時間8月24日、移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」は「エンゼルスは投手陣を改善するために新しい投手を獲得する以上のことが必要だ」と題した記事を公開し、投手陣の戦力アップのためには守備力の改善が必要であることを指摘した。同サイトは記事のなかで「エンゼルスの投手陣はあまり優秀ではないかもしれないが、今季の守備力が悪いということに議論の余地はない」と述べ、エンゼルスが各種の守備指標でメジャー最低クラスの数字を記録していることを紹介している。

エンゼルスは現在62勝64敗でア・リーグ西部地区4位。6年連続のシーズン負け越しとなれば、1971~77年の7年連続以来、球団史上ワースト2位の記録となる。マイク・トラウトやアンソニー・レンドンといった主力選手が故障に苦しんだことが今季の低迷の原因の1つだが、最大の原因がメジャーワースト7位の防御率4.70を記録している投手陣であることは否定できない。とはいえ、各種の守備指標に目を向けてみると、UZR/150はメジャー29位(-7.3)、DRSは同27位(-29)、OAAは同27位(-6)。低レベルな守備力が投手陣の足を大きく引っ張っているのだ。

同サイトは「一般的に、守備のうまい選手は好投手よりも安く獲得できるので、エンゼルスが2022年の失点を減らすための最も簡単な方法は守備力を強化することだろう」と指摘。1つ目の補強ポイントとして、正捕手マックス・スタッシの控えとなる守備型の捕手の獲得を挙げた。

内野4ポジションのうち、一塁はジャレッド・ウォルシュ、二塁はデービッド・フレッチャー、三塁はレンドンでレギュラーが固まっているため、補強ポイントになるのは遊撃手。今季はかつての名手、ホゼ・イグレシアスを獲得したものの、DRSで-17を記録するなど、フロントの思惑とは逆の結果となってしまった。

今オフは多くのスター遊撃手がFAとなるが、同サイトは「トラウト、レンドンと長期契約を結び、ジャスティン・アップトンの契約があと1年残り、大谷翔平と契約延長の可能性があるため、スター遊撃手を獲得する余裕はないかもしれない」と指摘。そのなかで唯一の可能性としてジョー・マドン監督のカブス時代の教え子であるハビアー・バイエズ(メッツ)を挙げた。今季はリーグ平均程度の打撃成績に終わっており、「バイエズが自身の価値を再構築して再びFA市場に出るために1年契約を受け入れる可能性がある。適切な価格の1年契約であればエンゼルスは受け入れることができるだろう」と述べている。

スター遊撃手以外では、今オフにイグレシアスを獲得したように、ローコストの選手をターゲットとする可能性もある。同サイトはジョナサン・ビヤー(メッツ)を例として挙げたが、平均レベルの守備力を持つ選手でもイグレシアスと比較すれば大きなグレードアップとなる。ローコストでの戦力アップは十分に可能なはずだ。

外野についてはトラウトをセンターから両コーナーに移し、好守のブランドン・マーシュを正中堅手として起用するのが「守備力の観点からは理想的」と指摘。トラウト、アップトン、マーシュ、ジョー・アデルの4人に出場機会を与える最も簡単な方法としてアップトンとマーシュのプラトーン起用(対右腕時は左翼トラウト、中堅マーシュ、右翼アデル、対左腕時は左翼アップトン、中堅トラウト、右翼アデル)を挙げた。また、守備優先のバックアップとしてフアン・ラガレスとの再契約の可能性にも言及している。

予算的にエース級の大物投手を獲得できないのであれば、守備力を改善して余計な失点を防ぐことも投手力アップの方法の1つとなる。同サイトが「低レベルな守備力を大きく改善することにより、エンゼルスはシーズンを勝ち越せるだけでなく、ポストシーズン進出の可能性も出てくるだろう」と指摘するように、今オフは好守の遊撃手と控え捕手が補強ポイントとなるのは間違いない。トラウトのセンターからのコンバートが本格的に検討される可能性もありそうだ。

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