ソフトバンク “サヨナラ回避”も…勝利目前で痛恨ドロー 

同点の9回一死満塁、西武・川越(中)のタッチアップを阻止したソフトバンク・甲斐(右)

シーソーゲームを取れなかった。ソフトバンクは24日の西武戦(メットライフ)に4―4の引き分け。試合は終盤に二転三転した。1―2の8回に、中村晃の適時二塁打と相手失策が絡んで一時逆転に成功。新助っ人・アルバレスの初打点となる適時打も飛び出して2点のリードを奪った。だが、9回に抑えを任された板東が2失点。最後は一死満塁のピンチを背負い、サヨナラ負けもよぎったが、なんとかドローに持ち込んだ。

最後の本塁クロスプレーがアウトになると、ホークスベンチは〝痛しかゆし〟といった空気に包まれた。土壇場で同点に追いつかれ、なおも一死満塁。森の飛球を中堅手・牧原大が処理して、タッチアップを狙った川越を好返球で阻んで引き分けた。サヨナラ負けを免れたが、勝ち切れなかったゲームだった。

8回の攻撃で執念を見せただけに、もったいなかった。適時打を放った選手会長の中村晃は「(直前に代走出場の周東)佑京が(デスパイネの)ワンヒットで三塁まで行ってくれたおかげで、外野フライでもという気持ちで打席に入ることができた」。周東の足で相手バッテリーに重圧をかけ、真っすぐを逆方向へ狙い打ったデスパイネ。鷹ベンチが勝負をかけてひっくり返したシーンだった。

序盤は重苦しい空気が漂っていた。初回に名手・甲斐の今季初失策となる悪送球から先制点を献上。さらに捕逸も重なり2点を失った。相手先発は2019年から9連敗中の高橋。それだけに幸先の悪いスタートだった。打線は相性の悪い高橋に、この日も苦戦。球数を放らせ3四球を選ぶなど何度も得点圏に走者を進めたが、結局6回まで1点しか奪えなかった。

それでもチームが勝機を逸さなかったのは先発・東浜が一歩も引かなかったからだ。前回14日の日本ハム戦で8回無四球無失点の快投を演じた右腕は6回2失点(自責0)。終盤の攻撃につながる価値ある力投だった。

Bクラスに沈む王者が逆転優勝をかなえるには、苦しい試合を取って弾みをつけることが次戦への力となる。それだけに9回の暗転が痛かった。この日、試合のなかった首位オリックスとのゲーム差は縮まらず4・5差。残り47試合、終わったゲームを引きずる暇はない。痛恨ドローを取り返す戦いがすぐに待っている。

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