奄美・世界自然遺産 三太郎峠線の車両規制 10月29日から 全国初 夜間観察で公道規制 環境省

三太郎峠を通る市道「三太郎線」の入り口。注意を呼び掛ける減速帯が設置されている=奄美市住用

 環境省は希少野生生物の夜間観察スポットになっている奄美市住用の市道・三太郎線で10月29日から車両規制を始める。世界自然遺産登録による観光客増加を見据え、車両の混雑を防ぎ、生態系保全を目指す。夜間観察を目的に公道を規制するのは全国初。市や県、地元住民と24日開いた連絡会議で決めた。

 規制は日没から夜明けまで。1時間当たりの通行車両を事前にインターネットで予約した4台に制限し、ガイドの同行と時速10キロ以下の走行を求める。通行量の増加が見込まれる連休中や年末年始はスタッフを配置し、予約なしの車両には通行しないよう協力を依頼する。法的拘束力はない。

 三太郎線は延長約12キロの旧国道。1989年にバイパス道の三太郎トンネル開通後は住民の往来が減る一方、頻繁に出没する国指定特別天然記念物のアマミノクロウサギ目当ての利用が増え、希少生物の交通事故が増加。追い越しによる利用者間のトラブルも問題になり、車両規制の実証実験をするなど適正利用に向けたルールづくりを進めてきた。

三太郎峠の道路に姿を現したアマミハナサキガエル
市道・三太郎線の車両規制を決めた連絡会議=奄美市住用

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