韓国経済紙「少子化で韓国兵力は今後急減する」「60万人から15万人に...」

韓国の経済紙が、米中など韓国を取り巻く対立構造が深まるにも関わらず、韓国軍が少子化などで深刻な兵力急減に陥ることに懸念している。

韓国の「グリーン経済新聞」は26日、特集記事『北東アジアの軍事緊張は高まるが兵力急減…根本対策立てろ』を軽視し、根本的対策がなければ韓国の安全保障が危うくなると警鐘を鳴らした。

参考記事:韓国紙「目はあるが拳がない自国イージス艦」「迎撃ミサイル先送りは中国への気遣い?」

執筆者のキム・ウィチョル記者は、「最近、米軍がアフガニスタンから電撃撤収した」とし、「米国と中国の対立が拡大されている局面で、このような決定が行われたのは、中国の西部を放棄し、東に集中するという米国の戦略を垣間見ることができる」と指摘。

image

続けて、「これは、日本、台湾、オーストラリア、インドを中心に、中国を封鎖するという米国のインド太平洋戦略とも脈を通ずる」と伝えた。最近は、英国航空母艦「エリザベス女王」号まで朝鮮半島近くを航行し、これに加わったと伝えた。

これに対応して、中国はロシアとの軍事同盟を強化し、冷戦後の最大規模の軍事訓練を実施したことや、新型ミサイル発射試験を強行したことなどを挙げ、対立構図が深まっていることを紹介。

キム記者は、「今年の地域諸国の国防費の規模を見ると、さらに尋常でない」と指摘。軍事超大国である米国とロシアを除いても、世界第2位の国防費支出国である中国が1780億ドル、3位のインドが730億ドル、6位の日本が510億ドル(約57兆ウォン)、8位の韓国が480億ドルなど、その予算高騰ぶりを指摘した。

そのような状況のなか、「韓国は深刻な低出生により兵力急減」するとキム記者は嘆く。昨年の韓国の新生児数は、初めて30万人を割り27万人に留まった。キム記者は、「現行の徴兵制度によると、約20年後、私たちが確保できる理論上の最大兵力は約13.5万人×1.5年、すなわち20万人である」とし、「実際には15万人程度と予想される」と述べた。

韓国の出生率は0.84人で、OECD加盟国の中で1.0以下なのは韓国が唯一だ。国民の通年では韓国軍=60万人となっているが、すでに「国軍兵力は50万人に減っている状態だ」とキム記者は指摘した。

image

キム記者は、このような少子化による兵力急減を補うために、(現行の徴兵制に代わる)募兵制を提案している。「募兵制にすれば兵力数が減ったと考えることもできるが、勤務期間が増えるため、確保できる兵力は、実際により多くなる」と提案した。

キム記者はまた、未来の戦場がこれまでのような形ではなく、無人戦闘装備が急速に増え、合同作戦能力が重要になると予想されることから、18カ月間の服役期間に留まる徴兵制ではなく、専門性の高い軍事訓練を受け勤務できる職業軍人を増やさなければならないと主張する。

キム記者は、「北朝鮮はサイバー能力を最大化しており核兵力を完成させた。中国や日本の軍備競争も目に見えて加速している」とし、「現在、国家安全保障の核心である韓米同盟が強固になるには、私たちの自主国防の意志と努力が先行しなければならない」と強調。「これは最近、アフガン事態でも実証された」と付け加えた。

韓国では募兵制の導入がこれまでも議論されてきた。募兵制のメリットとしては、端的には(キム記者が述べたように)兵士の質が上がるという点にある。職業軍人として(短期間ではなく)長期間の訓練と勤務が可能となる。一方でデメリットは兵力が少なくなるというものだ。なかには、「社会の失敗者や貧しい者だけが集まる場所になるので不公平だ」という極論もある一方、徴兵制よりも予算が多くかかるという財政面からの指摘もあるなど様々な意見が出ている。

参考記事:韓国紙「日本の高齢化制度改革は進んでいる」「韓国の少子化は無視されたまま」

参考記事:韓国経済紙「中国はアフガンに一帯一路を拡大」「韓国もタリバンとの関係再考を」

参考記事:韓国の国防予算が今年ロシア抜く見通し 2~3年内には日本も…文在寅政権で高い伸び

© 合同会社WTS研究所