もてぎ2連戦で大本命の平川「今年一番楽しみな週末」ランキング上位陣の大湯、福住が追う展開か【第5戦プレビュー】

 今週末に開催されるスーパーフォーミュラ第5戦ツインリンクもてぎは、今シーズンのシリーズのゆくえを占う意味で重要な一戦となる。今回の第5戦に続き、第6戦もサーキットは同じツインリンクもてぎで、今回の優勝者がそのまま次の第6戦に勝利する確率が高く、連勝がしやすい2連戦になるのだ。

 7戦中5戦分の有効ポイント制を採用している今季のスーパーフォーミュラでは、2連勝のインパクトはかなり大きい。現在のランキングトップは開幕2連勝を果たした野尻智紀(TEAM MUGEN)が独走している状態だが、この第5戦、第6戦のもてぎ2連戦で戦局は大きく変わる可能性が考えられる。

 そして、そのもてぎ戦で大本命に挙げられるのが、ハードブレーキングを得意とする平川亮(carenex TEAM IMPUL)だ。その平川は先日、9月22〜24日のWECバルセロナテストにトヨタGR010ハイブリッドで参加することが発表されたばかり。まずはその感想から聞いた。

「WECのテストでもう1回チャンスを頂いたのは、すごくありがたいことです。何よりテストのスケジュール(9月22~24日)が、帰国してからの隔離期間(14日間)を含めてもどの国内レースも犠牲にならないですし、調整してもらったような感があるのでありがたいです。大事なテストになりますし、バルセロナは走ったことがないのですが、チームからデータなどをもらって、こちら側のシミュレーターでまずはしっかりコースに慣れたいですね」

 平川は6月にポルトガルのポルティマオのテストに参加して以来の2度目の参加とあり、念願のシリーズ参戦に向けて確実に歩みを続けているようだ。

 そのWECテストに向けて是非とも今週末のもてぎでの優勝を手土産にバルセロナに向かいたいところだが、そのWECの話題を抜きにしても、平川は今週末のレースを待ちきれない様子だ。

「今週末は、1年で一番楽しみといってもいい週末です」と、優勝候補大本命らしい言葉を話す平川。

「もちろん、レースですし週末は何が起こるかわかりませんし、(前回のSUGOをWECテストで欠席したため)若干のブランクもありますが、優勝を狙っていきたいですね」

 前回欠席した第4戦SUGO戦はちょうどポティマオのテストから帰国したばかりのときで、中継でレースは見ていたという。

「ちょうど帰国した日が予選日で隔離期間中に中継で見ていまして、結構、客観的に見ていましたね。(代役の)高星(明誠)選手にとってはいきなり雨が降った状況で、SFは練習走行が少ないなかでの走行だったのでアンラッキーでしたね」

 現在、ランキングトップの野尻智紀が53ポイントで、平川はランキング4位で23ポイント。30ポイントの差があるが、このもてぎ2連戦で状況は大きく変わる可能性も考えられる。

 平川に続いて、今回のもてぎ戦で優勝候補に挙げられるのが前回スーパーフォーミュラ初優勝を飾って勢いに乗る福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。前回の初優勝でポイントランキング3位(34ポイント)に浮上しただけでなく、今季の福住は他車を圧倒する速さを見せるセッションが多く、このもてぎで連勝を飾っても不思議ではない存在だ。

「もてぎはなんだかんだ、相性がいいですね。それでもこのサーキットでの最高位は5位ですし、予選は3番手が最高ですし、毎年コンディションが変わったときにはクルマの動きも別物になりますので、もちろん、今回も優勝を狙っていきますけど、天候がまたどうなるか。まだちょっとわからないところがありますよね。そこが心配ではあります」と福住。

 前回初優勝を飾ってからの好影響は続いているのだろうか。

「基本的にはこれまでと一緒で変わらないですね。優勝したのはもう過去のことなので、もちろん嬉しかったですけど、また目の前にレースが来るとそこでまた勝たなければいけないというプレッシャーを感じています。そのプレッシャーに負けないように、今回も結果を残したいなと思います」

 ライバルにはやはり、平川の名を挙げる。

「もてぎと言えば平川選手が速くて、大湯(都史樹)選手(TCS NAKAJIMA RACING)も予選でのパフォーマンスは非常に高いですし、野尻選手がどのくらいのパフォーマンスで来るのかわからないですけど、野尻選手はあまりもてぎで調子がいいイメージがないので、そういうときこそ、僕もきちんとポイントを獲って、近づけたらなと思います」

前回の第4戦SUGOでスーパーフォーミュラ初優勝のいい流れを活かしたい福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 福住も警戒する大湯は現在ポイントランキング2位(36ポイント)で、昨年のスーパーフォーミュラデビュー戦のもてぎではいきなり予選4番手を獲得して周囲を驚かせた。このもてぎは大湯都史樹の得意なサーキットでもある。

「もてぎはそこまで得意な意識はないのですけど、相性がよくて結果はとにかくいいですね。予選でもあまり悪かったことがないので、自信を持って今回臨んで来ています」と搬入日に週末の抱負を話す大湯。

「これまでSFは去年から予選一発、速そうなところは見せられるのですけど、ズバ抜けているわけではないですし、自信を持って走れている予選があまりなかった。結構、苦しい中でなんとか叩き出しているタイムなので、決勝は特にどうにもならない時が多くて、キツイレースが多かった」

「でも、この前のSUGOもそうですけど、旋回しやすい、これかなというセットアップが見えてきた。そのレベルアップしたものを今回もてぎに持ち込んでいるので、それがいい方向に進めばいいなと思っています。ただ、悪く言えばそのセットアップは実績がないので、どハマリするかもしれないですね(苦笑)。期待半分、不安半分です」と続ける。

予選での速さは随一の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)。オーバーテイクが難しいもてぎで一躍、本命候補に。

 その大湯もやはり、今回のライバルには平川、そして野尻の名を挙げる。

「このもてぎ2連戦、相性のいいサーキットなので、なんとかポイントランキングで野尻選手に近づきたいです。もてぎは平川選手とチームインパル、そしてトヨタ勢が速いと思うので、なんとかその牙城を崩してポイントを重ねていきたいなと思います。勝ちに行くというより表彰台を確実に獲りにいきたいですね」

 大本命の平川に、ランキング上位の野尻、大湯、福住が続くという構図が見えるが、もちろん、虎視眈々と上位を伺うドライバーが数多控えていることは間違いない。ドライならば8月らしい酷暑も予想されるもてぎ戦。このもてぎ2連戦が今シーズンのスーパーフォーミュラの、まさに天王山の戦いになることは間違いない。

ランキングトップの野尻智紀(TEAM MUGEN)はこのもてぎ2連戦をどう戦うのか

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