阪神・佐藤輝の“中田化”心配ご無用 OBが太鼓判「大山を見てふるまいを学ぶだろう」

「壁」にぶつかっている

猛虎の怪物新人の〝中田化〟は無用の心配だ。ここまで全試合出場を続けている佐藤輝明内野手(22)が〝壁〟にぶつかっている。27日の広島戦(マツダ)も3三振を含む無安打。自己ワーストを更新する20打席連続無安打ともがき苦しむ姿が目立つようになってきた。そんなときに絶対NGなのは思い通りにいかない現状を「態度」に出すことだが…。もう一人の長距離砲・大山悠輔内野手(26)の存在がある限り、大丈夫だという。

4―6で連敗となった27日の広島戦(マツダ)は「4番・大山」「5番・佐藤輝」の2人の和製大砲のブレーキが、大きく影響した。

大山は8回に二塁打1本こそ放ったが、3回の一死満塁や、一打同点の9回二死二、三塁など3度の好機で凡退。佐藤輝も広島・大瀬良に3打席連続三振など精彩を欠き、矢野監督も試合後「何か変えるのか、そのまま行くのかちょっと考えます」と打順変更を示唆するほどだった。とはいえ、年間のなかで調子の浮き沈みは、今後もついて回るものだ。

阪神OBの評論家・柏原純一氏は「大事なのは『負の雰囲気』を周囲にも伝染させないこと。でもその点では今の阪神は心配ない。(現4番の)大山がそういうタイプじゃないから。むしろ、そういうものだけは『絶対に出さない』と心掛けてプレーできるタイプだから」と太鼓判を押す。

佐藤輝についても「これだけ三振をしても、変なイメージがつかないのは三振する前後のプレーだったり、振る舞いがしっかりしているから」。たとえ打席でバットが空を切った後でもベンチに戻り〝モノ〟にあたるようなことも、佐藤輝の場合、ほぼ目にすることはない。

これはいい意味で、先輩4番打者が、後輩新人にいい影響を与えていると柏原氏は分析する。

「特に自分と同じ、打点や本塁打を期待されている大山を見て、佐藤輝も試合中のふるまいを学ぶだろうしね。打てないときでも、守備や走塁をおざなりにせず、どんな時でもプレーに気分の浮き沈みを見せない大山はこれからも、いい手本。佐藤輝だってこれから、長く結果が出ずに苦しむときだってある。そうなったときに『打つ』こと以外をきっちりやれるかどうかは、周りが見ている」

このことは、柏原氏自身が日本ハムのコーチ時代に指導に関わり、先日巨人に放出された中田の一連の移籍劇を見て改めて感じたことだという。

「中田もね、稲葉(日本代表監督)とかまだ現役で、僕も打撃コーチでベンチにいたときは、4番でも、よく指摘もされてたし、怒られてたよ。凡フライ打ち上げて、走らなかったとかしたら。でもそういう声もいつからか飛ばなくなったと聞くし…。一番いいのは、誰かが言う環境じゃなく、中心になる人間が姿で見せること」

この日も最後の打者となりながら、大山はグッと敗戦の悔しさを胸にしまい込んだ。結果を出せず敗戦の責任を背負う際も、ここ一番でチームを勝利に導いた時でも、醸し出す雰囲気は常に一定。一喜一憂しない姿を貫く猛虎の4番の背中は、怪物新人の将来には必ずや好影響を与えそうだ。

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