全日本プロレス初の女子選手デビューは50周年イヤーの起爆剤となるか

3月14日の会見で「エボ女子」の誕生が発表された

【取材の裏側 現場ノート】2021年の女子プロレス界に異色の選手たちが登場した。女子版虎戦士のタイガー・クイーン、そしてゼロワンの応援大使「ゼロワンガールズ」からデビューを果たしたNATSUMIだ。タイガー・クイーンはジャガー横田、NATSUMIはアジャ・コングと工藤めぐみが育成に携わった。つまり全日本女子プロレスの〝血〟が入った選手と言っていいだろう。

記者が個人的に動向を気にしているのが、全日本プロレスの諏訪魔と石川修司が手がける「エボリューションガールズ(エボ女子)」だ。女子レスラー育成プロジェクトで、アイスリボンの藤本つかさがアドバイザーを務める。

ただし3月の会見で練習生1人がトレーニングをスタートしたことが発表されたのを最後に、その後は何もアナウンスがない。記者のもとには他の女子団体関係者から「エボ女子はどうなっているんですか?」と問い合わせがあり、東京女子プロレスの会議でもエボ女子が話題になったとか。

結論から言うと諏訪魔と石川が横浜市の全日本道場で付きっきりで練習を見ており、順調にトレーニングを積んでいる。ただし諏訪魔の「受け身をしっかり身につけてから」という方針のもと、基礎トレに時間を割いている。これは諏訪魔が女子プロ界を視察した結果、必要性を感じたからだという。

また、何より気になるのは、その練習生だろう。埼玉・蕨でアイスリボンの練習に参加した際、記者も同行したことがある。柔道経験者で運動神経は抜群だった。見守った藤本は「センスがある子ですね。女性から見てもかっこいいし、姿勢がいい。たたずまいが那須川天心さんみたいです」と語っていた。

諏訪魔、石川、藤本という全女の流れを組まない選手がどんな女子選手をデビューさせるのか注目だ。しかももう一人、かつて他団体の練習生だった子が加入する可能性もあるという。

来年、全日本は団体創立50周年のメモリアルイヤーを迎える。エボ女子のデビューは今秋か来年初頭になる見込みで、歴史と伝統の老舗団体に新たな光景が見えそうだ。
(プロレス担当・小坂健一郎)

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