糸魚川市官製談合事件判決 官製談合常習化 認める 入札の公正疑念

 昨年12月に行われた糸魚川市の押上新駅公衆トイレ整備工事の入札に関する官製談合事件について、新潟地裁は27日、予定価格を漏らした当時の市建設課係長、久保田雅樹被告(48)と当時の猪又建設営業部長、古川浩被告(70)の両被告に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

 判決は、久保田被告が昨年11月、同工事の入札について、古川被告と共謀し、庁舎内から通信アプリを用いて当時同社の営業担当だった男性を通して古川被告に予定価格(1917万4000円)を教示。古川被告は予定価格に近い1900万円で落札したことを認定した。

 また、一連の行為は「被告人両名の間で繰り返されてきた同様の行為の一環」とし、以前から両者の間で官製談合が行われてきたことも認めた。

 久保田被告は初公判の際に行われた被告人質問で「(業者への価格教示は)今回が初めてではない」と述べ、古川被告は平成28年に発生した糸魚川大火の復興工事が本格化して以降、受注しやすくするため、久保田被告に予定価格を聞くようになった、と陳述。以前から両者の間で官製談合が常習化したことを明らかにしていた。

 市職員が常習的に価格を教示していたことになれば、糸魚川市の入札制度の公正性は以前から大きく損なわれていたことになる。今後、市が設けた第三者委員会の調査が注目される。

談合「許されない」信頼回復へ決意 糸魚川市・米田市長

 官製談合防止法等違反事件に係る判決を受け、糸魚川市の米田徹市長は27日、報道陣の取材に答えた。冒頭で「著しく市民の皆さんの信頼を損なう結果となったことに、心から深くおわび申し上げる」と頭を下げ、「市として二度とこのようなことが起こらないよう、職員の服務規律、法令順守を厳しく行いながら、再発防止に職員と一体となって取り組んでいく」と信頼回復への決意を示した。

 久保田被告の証言から、業者との連絡が本庁舎で行われ、官製談合が常習化していたとの認識について米田市長は「恒常的にあったということであれば、許しがたいこと。しかし、決して慣習的ではないと思っている。完全に法律違反であり、起きたことに厳しく対処していきたい」。「(発生は)非常に残念」とし、「(談合は)ないものと理解していた」とあらためて話した。

 一方、久保田被告が犯行理由に挙げた「入札不調」に関して「非常に苦悩していたと思っている」と心情に理解を示しながら、「だからといって許されることではない」と断じた。

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