アフガニスタンのテロ死者100人超 タリバン政権に急接近の中国の狙いは

アフガニスタンの首都カブールの空港付近で起きた自爆テロで、AP通信などは27日、死者が100人を超えたと報じた。自爆テロは26日に空港南東にあるゲートで発生。米軍幹部は容疑者が1人だけで、自爆も1件だけだったと明らかにした。

27日にはアフガニスタンから退避する日本人を乗せた自衛隊機が隣国パキスタンの首都イスラマバードに到着。また、英国のラーブ外相は犠牲者に英国人2人と別の英国人の子供の計3人が含まれていると公表し、「卑劣だ」と非難した。

関与を主張した過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力のIS「ホラサン州」は、世界が注目する退避作戦を狙った攻撃で存在感を誇示し、アフガンの混迷が拡大。ISはタリバンと敵対関係にある。米軍撤退完了の期限が31日に迫る中、アフガンが再びテロの温床となる恐れが高まった。

サキ大統領報道官は記者会見で、「米軍は最大限の防衛措置を講じている」と強調。テロに関与した者については「大統領はこれ以上、生存してほしくないと考えている」と述べ、殺害を目指す方針を示した。

中国外務省の趙立堅副報道局長は27日の定例記者会見で、「非常に驚いた。中国は全てのテロリズムを強く非難する」と述べた。一方、中国はすでにタリバン側と会談を行い、外交関係を築きつつある。

中国国営メディア「環球時報」は先日、在アフガン中国大使がタリバン側高官と会談したと報じた。アフガンへの人道支援などについて話し合われたという。
中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「中国にとって、タリバン政権の樹立はメリットをもたらします。中国は新疆ウイグル自治区の管理強化に乗り出しており、ウイグル族はイスラム教を信仰しています。中国は、同自治区の独立を掲げるイスラム原理主義思想を持つ一部のウイグル族を警戒してきました。タリバン側と関係強化に努めることで、原理主義思想が新疆ウイグル自治区へ流れ込むリスクを軽減することができます」

また、習近平政権が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」において、アフガンはその要衝に位置している。周氏は「一帯一路構想はアフガニスタンの協力なしでは実現できないのです」と指摘している。

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