東京パラ 卓球男子 浅野 4強ならず メダルまであと一歩

 メダルまであと一歩だった。初のパラリンピックを8強で終えた卓球男子シングルス(知的障害)の浅野(PIA)。準々決勝で35歳の世界ランキング1位選手に敗れたものの、フルゲームに持ち込む接戦を演じた。大舞台で貴重な経験を積んだ20歳は「最初は勢いで2ゲーム取れたが、最後はベテランの技と元王者の気持ちに負けた」と潔く結果を受け止めた。
 25日の1次リーグ初戦で世界ランキング3位のオーストラリア選手から金星を挙げた。この日の最終戦は試合巧者の韓国選手から、なかなか主導権を奪えずに惜敗。組3人の勝敗が並んだが、得失ゲーム率で同日の準々決勝進出を決めた。
 4強を懸けた相手は2012年ロンドン大会の金メダリスト。「出るからには金と言ってきた。まだ可能性はある」。自らを鼓舞して大一番に臨み、第1ゲームからの競り合いを15-13、11-7で連取した。だが、相手も黙っていなかった。冷静な組み立てにミスを誘われて第3ゲームを献上。その後も勝負どころで相手の繰り出すバックサーブに対応できず、流れを持っていかれた。
 今大会、伝えたかったことは、古里の家族や恩師らへの「感謝の気持ち」だった。「応援してくれたみんなに申し訳ない。次のパリこそ金メダルを取って、感謝を伝えたい」と前を向いて初舞台を締めた。

© 株式会社長崎新聞社