【競泳】山口尚秀が有言実行の世界新&金メダル「あー出たな、3秒台」

世界新記録で金メダルに輝いた山口尚秀(ロイター)

東京パラリンピック・競泳競技(29日、東京アクアティクスセンター)、男子100メートル平泳ぎ(SB14)決勝が行われ、山口尚秀(20=四国ガス)が世界新記録となる1分3秒77を叩き出し、金メダルを獲得した。

午前中の予選では、1分4秒45を記録し、全体1位通過を決めた山口は「1位を取って、自身の世界記録を更新できるように頑張りたい」と語っていたが、まさに有言実行の泳ぎを見せた。

苦手とするスタートでスピードに乗ると、29秒22で前半を折り返す。後半はジェーク・ミシェル(オーストラリア)とデットヒートになったが、185センチの長身を生かした力強いストロークで逃げ切った。

「尚秀」の名は、2000年シドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子氏とヤンキースGM特別アドバイザーの松井秀喜氏から付けられた。国民栄誉賞を獲得した2人のように、世界の舞台で最高の輝きを放った。

レース後には「金メダルを獲得することと、自身が保持している世界記録をさらに更新するという2つの課題を達成できたことにうれしく思う。あー出たな(1分)3秒台と思った」と声を弾ませた。

愛媛県出身の山口は、3歳の時に自閉症と診断された。小学4年からスイミングスクールに通い始めると、高校1年で全国障害者スポーツ大会に出場。愛媛県選手団の監督に誘われたことがきっかけでパラ競泳の世界へ飛び込み、国内外の大会で好成績をマーク。2019年世界選手権100メートル平泳ぎ(SB14)で優勝を果たしている。

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