【東京パラリンピック】陸上・佐藤友祈が2冠 生きたレスリング経験「首回りが鍛えられた」

2つ目の金メダルにガッツポーズの佐藤友祈(ロイター)

レスリングパワーで2冠達成だ。東京パラリンピック・陸上競技(29日、国立競技場)、陸上男子1500メートル(T52)決勝が行われ、佐藤友祈(31=モリサワ)が3分29秒13で優勝。400メートルに続き、今大会2個目の金メダルを獲得した。

父と妹が全国大会出場の経験を持つレスリング一家に育ったことから、佐藤も小学校時代はレスリングの練習に励んでいた。全国の舞台には届かなかったが「タックルをしたりとか、寝技を決めたりする中で、首回りすごい鍛えられた」と自然に体が強くなった。

中学入学後からは別の競技に取り組むようになったが、小学校時代の鍛錬が大きなプラスとなっている。「競技用のレーサーに乗る時は正座のような体制から常に前方を向いて、首を起こさないといけないが、そこに筋力が鍛えられているので、今の競技に生きている」。この日のレースでは、レイモンド・マーティン(米国)に風よけとして利用されたが、レスリングで鍛えた首と猛練習で培った体力を武器に、最後までマーティンにトップの座を譲らなかった。

ただ、当の本人は不満顔だ。「いや~、悔しいです。自分が公言して目標としてきた世界記録の更新と金メダル獲得っていうものをこの新国立の舞台で達成できなかったことがまず、非常に悔しい」と唇をかんだ。

24年パリ大会までは残り3年。「本当にちょっとでもいいので、1回夢や目標に向かって頑張ってみようと思ってもらえたら」。自分の走りで誰かに勇気を届けるべく、これからも佐藤は走り続ける。

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