西武投手陣はなぜ連日の大量失点? 辻監督を悩ます12球団ワーストの「417」

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

本田圭佑は3回まで無安打無得点と快調も4回に暗転

■日本ハム 6ー0 西武(29日・メットライフ)

西武は29日、本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦に0-6で完敗。相手のドラフト1位ルーキー伊藤大海投手にプロ初完投・初完封を許した。一方、自軍の先発・本田圭佑投手は4回に一挙4失点。先発投手陣がビッグイニングをつくられるケースが続いている。

立ち上がりは快調だった。本田は3回まで無安打1四球で無失点。球速こそ最速144キロにとどまるも、キレのある直球をはじめカットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップ、シュートを駆使して相手に的を絞らせなかった。

ところが、相手の打順が2回り目に入った4回。先頭の西川、続く野村に連打を許すと、4番・近藤にはカウント3-2から7球目の内角低め直球が外れ、無死満塁に。辻発彦監督はこの場面を「どんな形でも、二、三塁にしたとしても、近藤をアウトにさえしておけば、大量失点にはならなかったかもしれない。1点でも少なく──という投球をしてほしかった」と悔やんだ。

続く王に中堅右を破る3点適時二塁打を浴び、2死後にも石井に左中間突破の適時二塁打を許した。5回に登板した2番手の田村伊知郎投手も、2四球で自らピンチを招き、近藤の左犠飛で5点目を献上した。

前日28日でも今井が初回に3安打2四球でいきなり4失点

西武投手陣が1イニングに大量失点するのは、この日に限ったことではない。前日28日の同カードでも、先発の今井達也投手が初回に3安打2四球でいきなり4点を奪われ、結局5回7失点を喫した。打線が0-7の大劣勢から引き分けに持ち込む粘りを見せたが、この日は東京五輪で株を上げた伊藤に付け入る隙がなかった。

「昨日みたいなこともあるわけだから、投手はより強い気持ちで攻めていってほしいんだけれどね……」と嘆いた辻監督。「大量失点にはやはり四球が絡んでいる。せっかく追い込んでも、ファウルで粘られて四球とかね」と強調した。

実際、西武のチーム与四球はこの日の6を合わせ、両リーグを通じてワーストの「417」に上る。これに次ぐのはソフトバンクの「344」とは大きく差が開いている。これがリーグワーストのチーム防御率3.98の要因にもなっていると、指揮官は見ている。

「ウチの投手にはもっと大胆に攻めてほしい。ベース板の上(ストライクゾーン)に投げておけば、相手が打ち損じることもあるし、味方がファインプレーで助けてくれることもあるわけだから」と辻監督は口を酸っぱくして何度も語っている。懸案の投手力強化には、まず四球減が欠かせない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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