9・1防衛戦の井岡一翔に恩師がエール ドーピング騒動後「声も明るかったんで安心した」

昨年の大みそか以来の防衛戦に臨む井岡一翔

WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32=志成)に恩師から熱いエールが届いた。大阪・興国高ボクシング部時代に指導した須藤秀樹氏(60)が、騒動を経てフランシスコ・ロドリゲス・ジュニア(28=メキシコ)とのV3戦(9月1日、東京・大田区総合体育館)に臨む王者の心情を代弁した上で、今後に期待を寄せた。

一翔は昨年大みそかの田中恒成(畑中)とのV2戦で試合中のタトゥー露出が社会的論争となり、さらにドーピング検査で禁止薬物の陽性反応を示したとされ騒動になった。その後の調査で日本ボクシングコミッション(JBC)の管理体制などの不備が発覚。JBCの謝罪を受けて和解はしたものの、自身のインスタグラムでは試合に向けての不安を吐露している。

その精神力を称賛する声もあるが、須藤氏は試合に臨む教え子の心情を「そりゃ普通ならめげると思う。でも家族もいる。それに投げ出したら、濡れ衣でも『やっぱほんまか』と思われかねない。ちょっとでもやましいことがあったら、あいつの性格ではできないと思う。逃げることなく見返したろうという気持ちがあるのかな」と解説した。

高校時代の一翔を「部活とジムでの練習もしっかり両立させ、その一方で授業はもちろん校外学習や学校行事でも、たとえ翌日試合だからと欠席を許しても、決して休まない模範的な生徒だった」と振り返る。だからこそ、ドーピング疑惑が持ち上がった際には「大丈夫やろうと。何かの間違いだろうと思ってみていたが、静かにしてほしいと思っていると思って連絡は控えた」と信じ続けていたという。

今回の試合前には一翔から「試合が決まりました。頑張ってます」と連絡がきたそうで、須藤氏は「声も明るかったんで安心した」と胸をなでおろした。

「(JBCから)謝罪されたからといって許しているわけじゃないとは思うが、らちが明かない問題。それは真摯に受け止めて進まないといけない。だから進んでいるのだと思う。燃え尽きるまで頑張ってほしいし、これからも一個一個、記録を残していってほしい」。恩師の言葉を受けた一翔がどんな戦いを見せるのか注目だ。

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