長崎IR基本協定 カジノオーストリアと締結 総事業費3500億円想定

CAIJが提案した長崎IRの全体イメージ(県提供)

 長崎県と佐世保市がハウステンボス(HTB)への誘致を目指す、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、県は30日、オーストリア国営企業関連の事業者グループ「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)と基本協定を結び、IR整備を手掛ける設置運営事業予定者に決定したと発表した。総事業費は3500億円、年間来訪者数は延べ840万人と想定している。
 IR誘致を目指す地域で事業者との協定締結は和歌山県に続き2番目。国は最大3カ所を認定する。
 CAIJが提案したコンセプトは「東洋文化と西洋文化の融合」。主要施設のホテルは世界的な高級ブランドの「ハイアット」(米国)などが運営。高層の「クリスタルタワーホテル」や和風の温泉旅館などを建設し、幅広い客層をターゲットとする。
 国際会議場や展示場を備えたMICE(コンベンション)施設のほか、アニメやゲームなどの日本文化を紹介する「ジャパン・ハウス」、最先端医療を提供する「メディカルモール」、コンサートホールを計画。既存のホテルヨーロッパやパレスハウステンボスは改修するなどして活用する。

日本文化を紹介するジャパン・ハウス(手前右)や高層高級ホテル(中央奥)などのイメージ(県提供)

 県は、IR整備に伴う雇用創出や経済波及効果などを9月中旬にも示す方針。一方、事業者審査で落選した2グループが選考過程に問題があると主張していることに対しては「公平公正に選定した。(主張は)承知しているが特段対応する予定はない」とした。
 協定締結に合わせ、中村法道知事は「(CAIJから)HTBの景観とも調和した世界最高水準のIR実現を目指すという提案をいただいた。来年4月28日が期限の(国への)認定申請に向け、区域整備計画の作成を着実に進める」とコメントを出した。


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