『EuroRX1』でシリーズ復帰、実力者バッケルドの継続参戦が決定「ポルトガルではWorldRXに戻りたい」

 8月20~22日にスウェーデンの“聖地”ホーリエスで開催された2021年WorldRX世界ラリークロス選手権第2戦で、今季初開催となった『EuroRX1』クラスにスポット参戦したアンドレアス・バッケルド(シュコダ・ファビアRXスーパーカー)が、ESモータースポーツとの契約延長をアナウンスし、続く9月3~5日のWorldRX第3戦フランス・ロエアックと、ダブルヘッダー戦を予定する9月18~19日の第4戦ラトビア・リガでも同クラスにエントリーすることが確定。

 シリーズ復帰でドライビングの腕前が衰え知らずであることを証明した29歳のスタードライバーは「願わくば今季中のある段階、例えば(10月下旬開催の)ポルトガルなどで、このファビアを世界選手権のメンバーと対戦させたい」と、将来的なトップカテゴリー本格復帰にも意欲を見せている。

 WorldRXの最高峰として、今季2021年から『RX1』の新名称を採用する世界選手権クラスに続き、欧州選手権として同じスーパーカー規定の内燃機関搭載マシンを使用する『EuroRX1』クラスは、スウェーデンの聖地で開催されたWorldRX第2ラウンドの併催で今季開幕戦を迎えた。

 その週末では、予選ヒート最速で初日を首位で終えた2017年EuroRX王者アントン・マルクランド(フォルクスワーゲン・ポロRXスーパーカー)に対し、同じく2017年のRallyX Nordic(ラリーXノルディック)王者でもあるトーマス・ブリンテソン(フォルクスワーゲン・ポロRXスーパーカー)が逆転での勝利を飾っていた。

 その1戦に“助っ人起用”の形で参戦し、ひさびさの本格的ラリークロス競技復帰を果たしたバッケルドは、ほぼぶっつけ本番となるシュコダ・ファビアRXスーパーカーをドライブし、元世界戦レギュラーの風格を漂わせるさすがのスピードを披露。

 初日予選ヒートのQ2で3番手タイムを刻むと、翌日のQ3ではドライブシャフトの破損に見舞われつつも、Q4で再び3番手としてセミファイナルに進出。ここでも3番手を記録しファイナルに臨むと、5番グリッド発進ながらファステストラップも記録し、勝者ブリンテソンやジャン-バティスト・デュブール(プジョー208RXスーパーカー)に次ぐ3位表彰台を獲得した。

 この活躍が認められ、続くシリーズ戦に向けた契約を勝ち得たバッケルドは、WorldRXで2度、そして前身のEuroRX(現RX1)では2012年、2013年と連覇を達成しているロエアックでの「大暴れ」を誓った。

9月3~5日のWorldRX第3戦フランス・ロエアックと、ダブルヘッダー戦を予定する9月18~19日の第4戦ラトビア・リガでも『EuroRX1』継続参戦が決まったアンドレアス・バッケルド

■「誰にとっても大きな一歩だった」とバッケルド

「ロエアックのために再びEuroRX1のステージに戻れて最高の気分だ。これほどギリギリの決定は本来なら望んでいないが、自宅で視聴した(WorldRX開幕戦)バルセロナの恐ろしい気分を思えば、自分の名がエントリーリストに載っていた方が絶対に良いに決まっているからね!」と、継続参戦決定の喜びを語ったバッケルド。

「ロエアックとリガに向け、その希望を実現してくれたESモータースポーツとすべてのパートナーに感謝している。とにかく、僕のソファは売ってしまったから、もう家にいることはできないと思うんだよね……(笑)」

 その世界戦経験者バッケルドも、今季の『EuroRX1』が非常にハイレベルであることを認めつつ、初戦のファステスト記録と3位表彰台は「誰にとっても大きな一歩だった」と振り返る。

「僕はカートの時代からトーマス・ブリンテソンとレースをし、今まで知るなかでも最高のドライバーのひとりであると知っている。予算不足で世界選手権に出場する機会が得られなくとも、間違いなくそのスピードを持つ才能だ。それは(ジャン-バティスト)デュブールについても同じことが言えるね」とバッケルド。

「そしてチームとのここまでの仕事の経験から、彼らは間違いなくそのレベルに対抗しうる組織だと言える。トップチームとして将来への可能性を感じるし、今季のある段階でシュコダを世界選手権のメンバーたちと対戦させたいと思っているんだ」

「おそらくポルトガルで実現する可能性が高いと感じているけれど、まずはロエアックの週末に焦点を当てよう。昨年のフランス戦にはファンがいなかったから、彼らのためにも良いショーを披露したいね!」

 そのバッケルド継続起用を決めたESモータースポーツのチームマネージャー、ロベルタス・マネイキスは、リトアニアに拠点を置くチームが世界戦での地位を確立するという目標に向け、この有力ドライバーとの関係構築を「光栄に思う」と期待を寄せた。

「(わずか11時間の契約交渉だったという)前回同様に、今回もすべてがギリギリで、そしてほぼ最後の数秒でいくつかのことが確定した」と明かしたマネイキス。

「チーム全体がアンドレアスの結果に感動したが、前進するのは簡単ではないことを充分に認識している。ペースを改善するためマシンの細部に気を配り、彼と一緒にEuroRX1のシーズンを戦い抜きたいと考えているよ」

「今季のある段階でシュコダを世界選手権のメンバーたちと対戦させたい」と、そのポテンシャルを評したバッケルド

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