元広島・小窪を緊急補強したロッテ 一見地味だが…他球団が「侮れない」と警戒する理由

火の国サラマンダーズに在籍していたロッテ・小窪

「補強」としては地味なイメージだが、その裏には…。ロッテが8月31日、元広島の小窪哲也内野手(36)の獲得を発表したことが球界内で話題になっている。

8月末という期限ぎりぎりの獲得に加え、小窪はピークを越えたベテランだ。若手への世代交代を進めるチーム方針とは真逆の補強になる。しかも小窪は今季、NPBチームではなく6月から九州の独立リーグ・火の国サラマンダーズでプレーを続けていた。現在オリックスに次ぐ2位ながら悲願のリーグ優勝を狙うロッテの戦力強化としては一見するとインパクトに欠ける。

だが、このロッテの電撃補強。他球団関係者らに聞くと「侮れない」という声が多い。今後のペナント争いに向けてのロッテの「弱点」がなくなりつつあるからだ。

井口監督が31日の西武戦前に小窪獲得の理由について「右の代打というのが今年前半から全くいなくて。そこは球団に何とかお願いしていたところ」と語ったように、ロッテはシーズンを通して右の代打不足に悩まされ続けてきた。現チームには井上や吉田ら右の代打候補はいるものの、いずれも故障で戦線離脱中。このままシーズン終盤に突入すれば「ここぞ」という場面で右打者を送り出せない窮地に陥ることが明らかだった。

加えて、小窪は広島在籍時に厳しい優勝争いを何度も経験した実績がある。ロッテは現在、若い選手が台頭する一方、ペナント争いを勝ち抜いた経験のある熟練選手はいない。昨季からチームに加入した40歳のレジェンド・鳥谷も現在は二軍調整中だ。この状況を踏まえても小窪はロッテにとって重要な役割を担う可能性が高い。

本人も入団会見で広島時代の優勝争いを回顧しながら「本当に先輩に引っ張られて優勝を勝ち取ることができたので。自分もなかなかそこまではいけないと思いますけど、(ロッテでは)そういう存在になっていきたいなと思います」と抱負を語っていた。

身長175センチと小兵だがチームからの期待は意外に大きい。新天地での新たな役回りに注目が集まる。

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