菅野が復調も“育成組”はパッとせず… 巨人フロント陣が試される「眼力」

菅野は「いるべき場所」へ戻ってきたが…

遠い1勝だった。巨人・菅野智之投手(31)が1日のヤクルト戦(京セラ)で8回1安打無失点の圧巻投球を披露し、131日ぶりの白星を飾った。ただ、優勝争いがし烈を極めるのはこれから。菅野の復調は頼もしい限りだが、コマ不足の先発陣を一人でも増やしたいところ。ただ、育成から昇格したホープたちもパッとせず、フロント陣の〝眼力〟も試されている。

かつての無双ぶりがよみがえった。この日は最速151キロを計測し、多用したカットボールなどの切れも抜群で4者連続を含む8奪三振。ツバメ打線に二塁すら踏ませず、2―0でチームを3連勝に導いた。実に4月23日以来となる3勝目を手にした菅野は「感慨深い部分はありますけど、本当にまだまだなので。つらかったですけど、後ろを振り返ったらキリがないと思うので」とサバサバ。原監督も「本来の〝らしい〟ピッチングに見えましたね。しかし、この次というのが非常に重要になってくる。『復活』という言葉をまだ使えない状況だと思いますよ」とさらなる快投を期待した。

ペナントレースは残り42試合。菅野が本調子を取り戻したことは朗報だが、本来いるべき場所へ戻ってきたにすぎない。今週の6連戦も先発5人で乗り切る方針で、台所事情も首位の座もまだまだ安泰ではない。となると、やはり不可欠なのが投打の〝穴〟を埋める新たなピースだ。

今年はキャンプ以降に7選手が育成から支配下に昇格。投手ではメジャー再昇格を断念した山口が加入したほか、高木、戸田、直江、鍬原の4人が育成を卒業した。ただ、〝育成組〟は今ひとつ戦力になりきれていないのが現状だ。先月30日に滑り込みで支配下に復帰したばかりの鍬原は、この日の二軍戦で1回1/3を投げて3被弾を含む6失点KO。後半戦のローテ定着が期待された直江も先発した2試合とも結果を残せず、二軍再調整となっている。

もちろん、球団側が支配下登録する大前提は「フロントが一軍の戦力となり得ると判断したから。そうでなければ育成から上げることはない」(球団関係者)。すでに補強期限は終了し、現場は現有70人の戦力をやりくりしていくしかない。育成出身者たちも奮起し、V3へ追い風を吹かせられるか見ものだ。

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