【新型コロナ】埼玉の「放置死」案件、委託先は「発症日を間違えた」と説明

 さいたま市内で自宅療養していた60代男性が死亡していたことが後から分かった件について、埼玉県が健康管理業務を委託していた事業者が「発症日を間違えて療養終了扱いにしていた」と説明していることが分かった。県は委託元として管理ができていなかったとして陳謝し、今後はこの委託事業者への委託業務を縮小するとしている。

「発症日を間違えた」と説明、しかしその後も電話連絡試みる

 この60代男性は、先月8日に感染が判明。保健所が健康確認を数日行なった後、県が運営する「県宿泊・自宅療養者支援センター」事業の受託事業者に引き継いだ。担当した事業者は13日以降、複数回自動電話による健康観察を試みたが連絡が取れず、19、21、24日の3回にわたって、事業者の看護師が直接電話をかけたがつながらなかった。本来の運用ルールであれば、事業者は連絡がつかない療養者がいれば保健所に連絡することになっているが、なされていなかった。

 結局、連絡がつかないことを心配した家族が27日に自宅を訪れたところ、死亡している状態で発見された。死後2日程度経っていたとみられるという。

 事業者はルール通りに連絡しなかった理由について「発症日を3日と間違え、そこから10日経過していたため自宅療養終了と扱ってしまった」としている。しかしこれが本当であれば、その後看護師が直接連絡を試みた理由が不明で、いずれにしろ不適切な対応だったと言わざるを得ない状況だ。

 「県宿泊・自宅療養者支援センター」事業をめぐっては先月下旬、センターの業務もひっ迫し自宅療養者の終了報告が行われておらず、結果的に数千人規模の「自宅療養者数の過大報告」が起きていたことが発覚している。県は管理責任を認めるとともに、この受託事業者については現在担当している自宅療養者以外の業務は担当させず、新しく業者選定をし直すとしている。

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