コロナ破たん2,000件 緊急事態宣言の地域外で増加目立つ

  8月31日、「新型コロナ」関連の経営破たんが全国で2,000件に達した。国内初のコロナ破たんは2020年2月25日に判明し、1,000件目に達したのは約1年後の2021年2月2日だった。2,000件目にはそれから約7カ月後に到達し、発生ペースが加速している。1~1,000件目と1,001~2,000件目を比較すると、特に四国や九州など西日本地区での増加が目立ち、コロナ破たんが地方にもジワリと広がっているのが特徴だ。

 「新型コロナ」関連破たん(負債1,000万円未満含む)で、1,000件到達時の内訳と2,000件到達時の内訳を比べると、東日本(658→1269件)の増加率は92.8%増と2倍を割り込み、西日本(342→731件)は113.7%増で「西高東低」の様相を呈している。
※東日本(北海道・東北・関東・中部・北陸)、西日本(近畿、中国、四国、九州)

 都道府県別で増加率が最も大きかったのは、香川県(6→25件)で316.6%増と4倍超の増加だった。次いで、同じ四国の愛媛県(4→16件)と、破たん件数が全国で最も少ない山梨県(1→4件)が300.0%増、鹿児島県(3→11件)の266.6%増、徳島県(3→10件)の233.3%増となった。山梨県を除いて、西日本での増加率拡大が目立った。
 一方、増加率が最も低かったのは福島県(16→18件)で、12.5%増にとどまった。次いで、大分県(10→13件)の30.0%増、岐阜県(13→19件)の46.15%増の順だった。

 9月2日現在、緊急事態宣言が発令されている21都道府県(811→1,595件)での増加率は96.6%増、まん延防止等重点措置の12県(91→198件)では117.5%増、緊急事態宣言もまん延防止措置も出されていない14県(98→207件)で111.2%増だった。
 発令時期や日数が異なるため単純に比較できないが、宣言発令地域より、むしろ重点措置や発令のない地域の増加率が高かった。
 宣言発令地域では飲食店などのサービス産業は営業活動の制限を受けるが、感染拡大防止のための協力金などもあり、他地域に比べて増加率が抑えられている可能性もある。
 全国的に感染者数の高止まりが続き、コロナ破たんも増勢で推移している。さまざまな業種に悪影響が広がっているほか、大都市だけでなく、地方にもコロナ破たんが拡大している状況が浮き彫りとなった。

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