なぜ総理を目指すの?あのSNS炎上の背景は?乙武洋匡が岸田文雄氏に迫る!

選挙ドットコムでは、乙武洋匡氏をMCに迎え選挙や政治の情報をわかりやすくお伝えするYouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」を毎週更新中です。

今回は2021年7月7日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは自民党・岸田文雄議員です。SNSで炎上した件や総裁選への意気込みについて伺いました。

 

SNSで物議を醸した1枚の写真について

「岸田さんは失言がないし、炎上している記憶もあまりない」と話す乙武氏。「唯一、総裁選時にSNSへ投稿した写真が物議を醸しましたね」と投げかけます。

岸田議員は、「この写真はTV取材の1シーンで、私が外出先から食事をしに帰ってきた時のもの。帰り着いて家内が食事を出した1場面が、たまたま世間に出た。私たち夫婦の間は一方的なことはないし、議員宿舎では私も皿洗いをする。十分ではないが家事もできるだけ分担するよう努めているので、実態はそうじゃないと思いつつ、気をつけなきゃいけないとも思った。複雑な思いをした写真だった」と話しました。

自身も10年以上にわたり多様性について活動してきた乙武氏。「この時の炎上には思うところがあった。色々な価値観があるのは分かるが『人の家は人の家、自分の家は自分の家』、それこそが本当の多様性じゃないの?と感じた」と話しました。

岸田議員は、「多様性の考え方はこれからより重要になってくるし、多様性こそ社会の活力の大きなポイントになると思う。多様性とはどういうものかを考えなくてはならない時代。多様性を考え過ぎて窮屈になっちゃうと本末転倒だ。より自由に考えられる多様性でありたいと思う」と話しました。

総裁選挙への出馬について

乙武氏は、「秋の総裁選には出ますか?」とストレートに尋ねます。

岸田議員は、「チャンスがあれば出たい。今はコロナとの戦いが続いており、国民の命や暮らしに関わる非常事態。ワクチン接種をはじめ、やるべきことは力を合わせて進めていかなければならない。今は与党の一員として、政府が取り組んでいる様々な課題の解決をしっかり後押しする立場だ。今の段階で総裁選挙を論じるのは適切でない。まずはコロナ対策に全力を尽くし、将来チャンスがあれば(総裁選挙に)挑戦したい。挑戦するとなればアフターコロナ時代における日本の有り様について考えることになるだろうが、それについては私も色々と思いがある。そういった思いを訴える場を頂けたらありがたい」と話しました。

続けて乙武氏は、「岸田さんはなぜ総理大臣になりたいのですか?これまでどんなポジションに就いても卒なくこなされてきて『総理にならなくても力を発揮できる』と感じている方も多いと思う。菅総理を見ていると、官房長官時代にあれだけキレッキレのパフォーマンスを発揮されていた方が、総理になるとあれだけ批判をされている。それでも総理になりたいですか?」と尋ねます。

岸田議員は、「個々の具体的な政策は政治家としてそれぞれの立場で関われると思うが、『こういった国や世界を目指したい』と思えば、総理じゃないとリードできないことも沢山あると感じる。たとえば広島県出身の私は、核問題をライフワークとしていて『核兵器のない世界を目指したい』という強い思いを持ってきた。こうした大きな課題は、国のリーダーにならないとアピールする場をなかなか頂けない。このような想いを実現する為にも総理に挑戦したいと強く思っている」と話しました。

核兵器禁止条約について

乙武氏は、「有権者のなかには『核をなくしたいと言っているのに核兵器禁止条約に乗らないって矛盾しているのでは?』と思われる方もいるだろう。その辺りを分かりやすく教えて頂きたい」と伝えます。

岸田議員は、「核兵器禁止条約は、“核兵器のない世界という出口“に位置する条約だが、今はまだ入り口の場所にいると思う。出口に向けて、まずは核兵器の数を減らさなければならないし、“核兵器の存在によって安全を確保する“という役割も減らしていかなければならない。更には核兵器を使わなければいけないような厳しい国際情勢も緩和していく必要がある。

これらを努力することにより、入り口にある状況から出口へ向けて物事を進めていかなければならない。今、入り口部分には核兵器保有国も非保有国も参加しているが、出口には非保有国しか参加していない。核兵器保有国が変わらなければ核兵器はなくならない。日本は世界最大の核兵器保有国であるアメリカと同盟国なのだから、アメリカや他の核兵器保有国も入り口から出口へ引っ張っていく努力が大事だ。これらを考えた時に、日本だけ出口へ入って満足していてはいけない」と話しました。

乙武氏は更に突っ込んだ投げかけをします。「アメリカに説得が上手くできたとしたら、日本にとっては自分たちを守ってくれている核の傘だけを奪ってしまうことになる。攻撃してくる可能性のある核が存在する以上、アメリカの核をなくしてしまうと日本の安全保障を揺るがしてしまうと思う」

これに対して岸田議員は、「核兵器をなくすためには全体を動かさないと目的に向けて進まない。だから核兵器の数を少なくするだけでなく、核兵器の役割をなくしたり緊張感を減らしたりして核保有国を少しずつ動かす必要がある。一国だけ出口へ入っても全体は変わらない」と話しました。

長年「ソフトパワー外交」を主張している理由

岸田議員は、「大きな国を動かしていくためには様々な共感できる部分が必要である。核兵器をなくすという大きな目標についても、共感できる国を増やして物事を進めていく動きが大事だ」と話しました。

最後に乙武氏は、「有権者の皆さんは、岸田さんが言っていることが実現したら今より良い社会が実現できると思っているはず。だが、岸田さんに対して『優しそう、譲ってしまいそう、戦えなさそう』と不安を抱いている方も多いはず。岸田総理は、抵抗勢力や反対者と戦えるのですか?」と尋ねます。

岸田議員は、「戦わなければ総理になる意味がないし、戦うために総理になる。『しっかり戦う』と伝えたうえで挑戦しなければならないと思っている。強い覚悟を持って挑戦したい」と答えました。

岸田文雄氏プロフィール

1957年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、日本長期信用銀行入行。1987年に父である岸田文武衆議院議員の秘書となる。1993年、衆議院選挙に自民党公認で出馬し初当選。以後再選を重ね現在は9期目を務める。自民党青年局長、建設政務次官、文部科学副大臣、衆議院厚生労働委員長、内閣府特命担当大臣、消費者行政推進担当大臣、宇宙開発担当大臣、自民党国会対策委員長、外務大臣、防衛大臣、自民党政務調査会長(3期)などを歴任。現在は第8代宏池会会長、自民党広島県連会長を務める。

© 選挙ドットコム株式会社