【新型コロナ】20代妊婦、腹痛もPCR未検査理由に診察拒まれ流産 四日市市

 三重県四日市市で8月、新型コロナウイルスに感染した夫の濃厚接触者になった20歳代の妊婦が、腹痛や出血があったにも関わらず、PCR検査を受けていないことを理由に診察を拒否され、その後流産していたことが分かった。背景には保健所業務のひっ迫があり、県では妊婦である場合、検査を徹底するよう保健所に求めた。

「無症状でも濃厚接触者は検査」のはずが

 県が発表したところによると、流産したのは四日市市内在住の20代女性。先月20日に夫の感染が判明し、保健所により濃厚接触者とされたがPCR検査を受けられていなかった。女性は妊娠15週目で安定期に入っておらず、24日には腹痛や出血があり産婦人科を受診しようとしたものの、PCR検査を受けていないことを理由に診察を拒否された。その後25日、別の医療機関でPCR検査を受けたが、その帰宅途中に破水。救急搬送されるも流産した。検査結果は陰性だった。

 県によると、通常濃厚接触者となった場合は無症状でもPCR検査が原則だが、感染の急拡大で業務がひっ迫し、女性に対する検査の手続きが追いつかなかった可能性がある。担当していた四日市市保健所には、女性を濃厚接触者とした後の対応記録がまったく残っておらず、女性の流産についても親族からの連絡で初めて把握したという。四日市市保健所の市川和彦副所長も記録がないことを認めており「大切な命を失ってしまう形となり、お悔やみ申し上げます」と謝罪した。

 三重県では各保健所に対し、今後は妊婦がすぐに検査を受けられる体制を整備するよう求めることとしている。

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