「東京五輪の熱が冷めないように」後半開幕のソフト日本リーグが抱える課題とは?

前日会見に出席した後藤希友、上野由岐子、藤田倭(左から)【写真提供:(公財)日本ソフトボール協会】

上野、後藤ら金メダリストが各チームに分かれ熱戦展開

ソフトボール熱を冷ますな──。日本女子ソフトボールリーグ(1部)の後半開幕節が、4日と5日の2日間、神奈川県の大和スタジアムで無観客開催される。東京五輪で金メダルを獲得した日本代表メンバーが、各チームに分かれて熱戦を繰り広げるが、競技人口拡大という課題、コロナ禍による逆風にも立ち向かう。

3日にはオンラインで前日会見が開かれ、上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)、藤田倭投手(同)、後藤希友投手(トヨタ自動車)、渥美万奈内野手(同)の金メダリスト4人が出席した。投打二刀流の藤田は「ソフトボールの人気は、五輪を機に上がったと思う。この熱が冷めないように、リーグ戦でもたくさんの魅力を伝えていきたい」と気合を込めた。

ソフトボールは2008年北京五輪で日本が初めて金メダルを獲得した後、2012年のロンドン五輪と2016年リオデジャネイロ五輪では正式種目から外された。東京では日本が13年越しの2大会連続金メダルに輝いたが、次回の2024年パリ五輪では再び除外されることが決まっている。日本リーグとしては将来の五輪種目復帰のため、国内の盛り上がりを一過性で終わらせず、世界的な競技人口拡大へつなげていくことが課題になる。

「日本のレベルをもっともっと上げて、ソフトボールを世界中に広めていけるように、全力でプレーしたい」と語ったのは渥美だ。東京五輪の決勝・米国戦、2点リードで迎えた6回1死一、二塁の守備で、三塁手の山本優内野手の左手首を直撃し跳ね上がった打球をノーバウンドでキャッチし、飛び出していた二塁走者も刺し“神ゲッツー”を完成させた、あの遊撃手だ。

いきなり2チーム計3選手が新型コロナウイルス陽性で出場辞退

コロナ禍の逆風にもさらされている。1部リーグは12チームで構成され、後半開幕を前に各チームの選手・スタッフ、審判員、機構関係者ら計353人のPCR検査を実施。デンソーの選手1人、大垣の選手2人が陽性判定を受けた。デンソーと大垣は出場を辞退し、後日代替試合が行われることに。後半開幕節は当初、4日と5日に3試合ずつが行われる予定だったが、4日3試合、5日1試合に変更された。渥美は「全12チームがそろう形にはなれませんでしたが、ソフトボールファンが注目してくれているので、私たちが今できることをやっていきたい」と決意を新たにした。

後半開幕節は無観客開催。次節は有観客開催を予定しているものの、感染の拡大によっては予断を許さない。当面はテレビのBS、CS放送やインターネットの動画配信が主な観戦手段となるとあって、上野は「画面を通して少しでもソフトボールの楽しさをアピールして、表情ひとつにしてもしっかり伝わるプレーをしていきたい」と強調した。

乗り越えなければならない課題は多いが、ソフトボールのメジャー化へ、千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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