「後追いの政策」「コロナに翻弄」菅首相の退陣に沖縄県民の視線 

 菅義偉首相の退陣意向に、新型コロナウイルスの感染拡大が続く県内からは厳しい目が向けられる。那覇市内で琉球新報の号外を受け取った金城勲さん(81)=那覇市=は「後追いばかりの政策だった。もう限界だったのでしょう。結局、自分の政策が無かったことが、うまくいかなかった原因ではないか」と指摘した。

 会社員の久場奈津紀さん(33)=浦添市=は「菅内閣の閣僚は高齢の男性ばかりに映った。これを機に若い人や女性を入れてもらえれば」と、多様性のある内閣への刷新を望んだ。

 沖本裕司さん(74)=八重瀬町=は「当然の結果だ」と突き放した。コロナ対策や辺野古新基地建設など安倍前政権時代から続く沖縄への対応を振り返り「民意無視の最悪の政権だった」と批判した。

 自営業の照屋勝則さん(66)=うるま市=はこの1年を振り返り「辺野古埋め立ての強行のほか、最近では沖縄関係予算の3千億円台以下への減額などもあり、沖縄に対しひどい仕打ちをしてきた」と沖縄政策を問題視。ワクチン接種の遅れや人流を増やすGoToキャンペーンなど新型コロナ対策も疑問視した。

 国難と言われるコロナ禍で、難しいかじ取りを迫られたことを哀れむ声もある。会社役員の佐伯憲一さん(66)=那覇市=は「びっくり」と驚きの声を上げ「前例のないコロナ対策は、誰がやってもうまくいかなかっただろう。それでも誰かが責任を取らないといけない。運が悪かった」と同情した。

 タクシー運転手の中村博行さん(71)=南城市=は企業への雇用調整助成金などの支援を評価した。「『緊急事態宣言の判断が遅い』などの批判もあるが、経済界などとの難しい調整をしてきたはずだ。やることはやったと思う」と振り返った。

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