「横浜市長選が決定打」 首相辞意に驚く地元・神奈川の自公、勢いづく野党

新総裁として初めての会見に臨む菅氏=2020年9月、自民党本部

 地元選出の菅義偉首相(衆院神奈川2区)が突然の辞意を表明した3日、県政界にも驚きの声が聞かれた。首相を支えてきた与党からはコロナ禍での政権運営の難しさを嘆く声が上がる一方、野党からは先の横浜市長選が首相退陣の流れをつくったと指摘する声が相次いだ。

 辞意表明が伝えられた自民党県連は急きょ、幹部を招集して対応を協議した。土井隆典幹事長は取材に「本当に驚いたと同時に残念。自分のやりたい政策もコロナ禍でなかなか実行に移せず、コロナ対策一辺倒になってしまったのは気の毒だ」とおもんぱかった。

 党内に「菅首相では衆院選を戦えない」という不満が広がったことには「首をすげ替えようと考える前にまず自分の足元を固めるのが筋だ」と苦言を呈した。

 自公政権として連携する公明党県本部の上田勇代表は首相の辞意に「とてもびっくりした。コロナ対策に苦労されてきた点は大変評価している。地元選出の総理だけに残念」とし、「引き続き与党の一員として国民のいのちと生活を守る政策を責任を持って進めていきたい」と語った。

 一方、8月の横浜市長選で菅首相が支援する小此木八郎前国家公安委員長らを破って初当選した山中竹春氏を中心的に支えた立憲民主党の花上喜代志市議は「(菅氏の市議時代に)一緒にやっただけに残念な気持ちはあるが、地元で負けたことが退任劇の決定打になった」と指摘。「衆院選は政権交代を懸けた選挙になる」と意気込んだ。

 「国民に説明せずに自己責任論。菅政治の行き詰まり」と手厳しいのは共産党県委員会の田母神悟委員長。「自民党の支持が分裂し、政党の統治能力が崩れた象徴が市長選だった。衆院選で政治を転換する流れをつくりたい」と訴えた。

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