対馬朝鮮通信使歴史館 来月末、開館へ

「対馬朝鮮通信使歴史館」のロビーのイメージ図(対馬市文化交流課提供)

 江戸時代、朝鮮王朝が日本へ派遣した外交使節「朝鮮通信使」の歴史や、通信使に関連する市民活動について資料やパネルで伝える「対馬朝鮮通信使歴史館」が、10月30日、長崎県対馬市厳原町に開館する。観光客誘致や郷土学習、日韓交流に関わる市民の機運醸成につながると期待される。
 歴史館は市が整備。市役所厳原庁舎や対馬博物館(来年4月開館予定)の近くにある施設跡を改修する形で昨年10月に着工し、今年6月に完成した。建物は3階建てで、1階部分を展示スペースとする。総工費約3億円。広さは約320平方メートル。対馬博物館の分館という位置付けで、館長は、対馬博物館の町田一仁館長が務める。
 市文化交流課によると、朝鮮通信使が持参した朝鮮国書のレプリカのほか、江戸時代に対馬藩が韓国・釜山に設けた在外機関「倭館」の模型、同藩で朝鮮外交に尽力した儒学者、雨森芳洲の肖像など実物、レプリカを合わせ約80点を展示する予定。
 このほか、2017年の朝鮮通信使関連資料の「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)登録に尽力した対馬の民間団体の活動内容や、登録に至るまでの流れをパネルなどで紹介。釜山市にある「朝鮮通信使歴史館」との交流イベントについても今後、検討していくという。
 観覧料は大人220円、小中高生110円。対馬市民は大人110円、小中高生無料。比田勝尚喜市長は「対馬が誇る朝鮮通信使の歴史や、さまざまな活動についての学習にぜひ役立ててほしい」としている。

展示室のイメージ図(対馬市文化交流課提供)
10月30日開館予定の歴史館の外観=対馬市厳原町

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