【小倉2歳S】ナムラクレアが豪快に差し切りV 早熟では終わらない〝強靭フィジカル〟

直線豪快に突き抜けた浜中とナムラクレアのコンビ(東スポWeb)

今年の小倉開催を締めくくる日曜(5日)のGⅢ小倉2歳S(芝1200メートル)は、ナムラクレア(牝・長谷川)が快勝。直線外からライバルをまとめてかわしてレースレコードタイで小倉2歳チャンピオンに輝いた。仕上がりのいい早熟馬と後のGⅠ馬。両極端な勝ち馬が名を連ねるレースで、今年の勝ち馬が当てはまるのは…。

ゲートが開くと無理せずショウナンマッハが先頭に立ちテンの3ハロンは33秒6。4角では馬場の中央に持ち出したショウナンを、内からコーナーワークを利してソリッドグロウがかわしたが、この時点で両馬はガス欠。そこに大外から伸びてきたのがナムラクレアで、小気味のいいフットワークでゴールまで一気に突き抜けた。

当初騎乗予定だった和田竜が前日の札幌2歳Sで負傷(左足関節捻挫=ダークエクリプスが競走除外)し、代打に指名されたのが浜中だった。「乗り替わりを知ったのが当日の朝。いろいろ聞いて、この馬の持ち味を発揮できるように心がけました。スタートも良く、4角でも手応えがあった。いい瞬発力を見せてくれましたね」。小倉出身の浜中にとって当レースは16年レーヌミノル以来5回目の制覇。「毎年地元では力が入るので、重賞を勝ててホッとしています」と笑顔を見せた。

ナムラクレアを管理する長谷川調教師は、厩舎開業以来JRA重賞初制覇。「外枠だったし、行く馬もたくさんいたので、乗り方は特に注文しませんでした。上手に乗ってくれましたね。こういう馬場も向きました。今後は少しずつ距離を試してマイルまで持たせたいと思います。(マイルを使った)新馬戦(3着)は、左にモタれていたし、まだ体も緩かったですから」と今後の可能性を強調した。

長谷川師といえば、本紙専属評論家の中村均元調教師の下で騎手、調教助手を務めていた。「中村先生のおかげでJBC(19年レディスクラシック=ヤマニンアンプリメ)を勝たせてもらったけど、やはりJRA重賞は意識していました。この馬の血統も師匠のころからのもので、キュウ舎としてうれしいですね」

8月1日の新馬戦から中1週でフェニックス賞を勝ち、そして今回が中2週。1か月の間に新潟→小倉→小倉と長距離輸送を3回こなし、それでもこの中間は坂路でラスト11秒台を連発しており、強靱な体力の持ち主であることがうかがえる。

勝ちタイムの1分07秒9も、同日古馬1勝クラスより0秒1速いレースレコードタイ。例年の勝ち馬と比べても優秀だ。無尽蔵なフィジカルと、どこからでも競馬ができるセンス、馬場も不問とあれば、可能性は限りなく大きい。過去にはメイショウボーラーやアストンマーチャンなど、古馬GI制覇をした馬も出ている小倉2歳S。今後さらなる成長があれば…これら偉大な先輩に近づくことも可能だ。

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