リアム・ローソンがレッドブルリンクで「夢のような」連勝。3勝目を挙げランクトップに迫る/DTM

 9月4〜5日、DTMドイツツーリングカー選手権の第5戦がオーストリアのレッドブルリンクで開催され、レース1、レース2ともにリアム・ローソン(レッドブルAFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)が勝利を挙げた。

 3年ぶりの開催となった1周4,318mのレッドブルリンクで争われる第5ラウンドは有観客で開催。観客はホームストレート〜1コーナーのスタンド、そしてパドックにも入場が許された

 本戦ではランボルギーニ・ウラカンGT3 EvoでエントリーするT3モータースポーツが3台へと体制を拡大。エスミー・ホウキー、エステバン・ムースに加え、ドイツ人のマキシミリアン・ポールが71号車でエントリーした。ポールは金曜日のフリープラクティス1回目で、いきなりトップタイムをマークしている。

マキシミリアン・ポール(T3モータースポーツ/ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo)

 土曜日のレース1予選では、ローソンがポールポジションを獲得。以下、マキシミリアン・ゲーツ(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)、アルジュン・マイニ(メルセデスAMG・チーム・ゲットスピード/メルセデスAMG GT3)、シェルドン・ファン・デル・リンデ(ローヴェ・レーシング/BMW M6 GT3)、フィリップ・エリス(メルセデスAMG・チーム・ウインワード/メルセデスAMG GT3)、アレックス・アルボン(アルファタウリ・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)と続くトップ6のグリッドとなった。

 ランキングリーダーのケルビン・ファン・デル・リンデ(アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)はアウディ勢最上位となる8番グリッドから決勝レースに臨んだ。

 レース1のスタートではローソンが順当にトップをキープ。ゲーツが追う展開となる。

 8周目、ゲーツが先にピットへ入りアンダーカットを狙うが、翌周にピット作業を終えたローソンが事実上の首位を守る。

 上位グループでは、シェルドンが接触の影響からか無念のリタイア。レース中盤にはケルビンがマイニを攻略し、ピットを終えたグループ内の4番手につける。終盤はエリス、ケルビン、そしてアルボンによる3番手争いが接近戦となり、残り4分というところでアルボンがケルビンのインに飛び込み、やや接触しながらも4位を奪った。

 さらにアルボンは最終ラップ、前を行くエリスに対しテール・トゥ・ノーズからサイド・バイ・サイドへと持ち込むが、エリスがなんとか守り切り、この順位のままフィニッシュを迎えた。

 レース1はローソンが完勝。1秒差でゲーツが続き、3位にエリス、4位アルボン、5位ケルビン、6位マイニというトップ6となった。

マキシミリアン・ゲーツ(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)
アレックス・アルボン(アルファタウリ・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)
2レースともアクシデントに見舞われ、決勝ではノーポイントとなったシェルドン・ファン・デル・リンデ

■「ピット作業ではフェラーリとメルセデスにアドバンテージがある」とBMWのウィットマン

 日曜日のレース2予選は、マルコ・ウィットマン(ワーケンホルスト・モータースポーツ/BMW M6 GT3)がトップタイムをマーク。僅差でレース1優勝のローソンが2番手に続き、以下シェルドン・ファン・デル・リンデ、ゲーツ、エリス、ルーカス・アウアー(メルセデスAMG・チーム・ウインワード/メルセデスAMG GT3)というトップ6でスタートを迎えた。

BMWのウィットマンを先頭にレース2のスタートが切られた

 3周ほど経過したところで、3番手を走るシェルドンがタイヤトラブルから後退。レース1に続き、上位から脱落することになってしまった。最終的にはリタイアを喫している。

 上位勢ではトップのウィットマン、エリスがピットウインドウ・オープンと同時にピットへ。次の周でローソン、ゲーツ、アウアーらがピットに向かうと、ローソンがウィットマンを逆転することに成功する。

 ピット作業を終えると、ローソン、ウィットマン、ゲーツ、エリス、ヴァンサン・アブリル(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)、アウアー、ケルビンというオーダーになるが、アブリルには5秒のタイムペナルティが科せられる。

 この時点で3番手以下は大きく引き離され、ローソンとウィットマンによるコンマ差でのマッチレースに。

 トップの2台は膠着状態のままラップを重ねていく。ピットインを引っ張って暫定トップに立っていたニコ・ミューラー(チーム・ロズベルグ/アウディR8 LMS)に追いついたところで順位変動の予感も漂ったが、ローソンがうまくミューラーを間に入れる形を取り、形勢は変わらず。

 ウィットマンは最後までローソン攻略の攻め手を欠き、結局0.2秒差で逃げ切ったローソンがレッドブルのお膝元で連勝。3位に2戦連続表彰台のゲーツ、以下エリス、アウアー、ケルビンというトップ6になった。

「土曜日の優勝によって25kgのサクセスウエイトが搭載されたので、簡単なレースではなかった」とローソンは振り返っている。

「チームはピットストップで素晴らしい仕事をしてくれた。それが勝利のカギとなった。このトラックがフェラーリにマッチしていることは分かっていたけど、2連勝という結果は夢のようだ。チャンピオンシップにおいても、僕らには大きなステップとなった」

 一方、ピットで逆転を許したウィットマンは「ピットストップで、フェラーリとメルセデスに技術的なアドバンテージがあるのは残念だ」とコメントしている。

 ランキングトップはケルビン・ファン・デル・リンデがキープ(147点)するも、連勝を飾って今季3勝としたローソンが12点差で猛追。さらに4点差でゲーツが続くという混戦模様になってきている。

 DTMの次戦第6戦は9月17〜19日、オランダのアッセンで行われる。

レース2表彰台の様子
レッドブルリンクでは表彰台こそ逃したものの、2レースでポイントを獲得。ランキング首位を守ったケルビン・ファン・デル・リンデ

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