ポルシェ、IAAモビリティで電動カスタマーレーシングコンセプトカー『ミッションR』を発表

 9月6日、ポルシェはドイツのミュンヘンで開催されるIAAモビリティショーに向け、自動車、モータースポーツの未来に向けたコンセプトレーシングカー『ミッションR・コンセプトカー』を発表した。電動カスタマーレーシングカーのコンセプトを示すものとしている。

 フランクフルトショーとして親しまれていたドイツの国際ショーが開催地と姿を変え、ミュンヘンで開催されることになったIAAモビリティに向け、ポルシェが意欲的なコンセプトカーを発表した。『ミッションR・コンセプトカー』と名付けられた車両は、最先端テクノロジーと、天然繊維強化プラスチック等のサスティナブルな素材を使い、前衛的なデザインと組み合わされた電動カスタマーレーシングカーのコンセプトカーだ。

 ポルシェにとって、カスタマーレーシングカーとの関わりは長く、世界中で開催されているポルシェカレラカップ向けに、31年前に初めて車両をデリバリーして以降、4,400台ものカップカーをバイザッハから生み出しており、最新バージョンの911 GT3カップは、2021年からタイプ992をベースモデルとする。この『ミッションR』は、すべて電気自動車となったときのワンメイクシリーズの将来がどうなるかを示している。

 パワーユニットには、新しく開発されたふたつの電気モーターを備え、“予選モード”で合計1088馬力を発生。0-100km/h加速は2.5秒以下だという。また新設計のモーターとバッテリーセル、直接オイル冷却などの革新的な回生システムにより、出力を失うことなくスプリントレースを戦うことができるとしている。

 最大435馬力のモーターがフロントを、653馬力がリヤに供給され、さらに高度な900ボルトテクノロジーとポルシェ・ターボ・チャージングにより、充電は最大340kWで可能。5〜80%のチャージは、レースのインターバルのわずか15分で済むとしている。また、『ミッションR』はノーズ部分とリヤウイングにドラッグ・リダクション・システム(DRS)を備える。

 さらに、シャシーはCO2削減とサスティナブルを目指し、ドアパネル、リアバルクヘッド、シートなどが天然繊維強化プラスチックを中心に構成される。フロントスポイラーリップ、ディフューザー、サイドスカートには亜麻繊維が用いられる。

 インテリアデザインはドライバーを中心に考えられ、ステアリング中央のモニターにはレース中の関連データが表示される。またステアリング上部のモニターにはサイドミラーカメラ、バックミラーカメラからの映像が表示される。さらに、シート右側のタッチディスプレイを使いドライバーの生体認証データを呼び出せるほか、内部のカメラを使いライブストリーミング送信ができる。

 また、リアルとバーチャルの融合も進められる。『ミッションR』と同形状のモノコックモジュールは、eスポーツシミュレーターとしても活用できる。またカーボン製のルーフはユニークな形状で、セーフティケージとルーフスキンを組み合わせ、ポルシェのデザイナーたちはこの構造物を『エクソスケルトン(外骨格)』と名付けた。

「ポルシェは、夢を実現する人々のためのブランドだ。これはモータースポーツにも当てはまる。我々はレーストラックで革新への強さを得て、新たな道を追求する勇気を示し、パフォーマンスで所有者を喜ばしてきた」とポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメはコメントした。

「フォーミュラE参戦に続き、我々はいま電動モビリティへの大きな一歩を踏み出している。このスタディモデルは、すべての電動モータースポーツのビジョンとなる。『ミッションR』は、パフォーマンス、デザイン、サステイナビリテイと、ポルシェを強くするすべてを具現化する」

ポルシェが発表した電動カスタマーレーシングコンセプトカー『ミッションR』
ポルシェが発表した電動カスタマーレーシングコンセプトカー『ミッションR』
ポルシェが発表した電動カスタマーレーシングコンセプトカー『ミッションR』
ポルシェが発表した電動カスタマーレーシングコンセプトカー『ミッションR』
天然繊維強化プラスチックなどサスティナブルな素材が多用される『ミッションR』のコクピット。
天然繊維強化プラスチックなどサスティナブルな素材が多用される『ミッションR』のコクピット。
中央に情報が示されるモニターが設けられた『ミッションR』のステアリング。
ポルシェが発表した電動カスタマーレーシングコンセプトカー『ミッションR』

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