「はじめまして、宮國です」 DeNA宮國が古巣巨人を相手に1518日ぶり勝利

DeNA・宮國椋丞【写真提供:横浜DeNAベイスターズ】

5回7安打1四球2失点 味方打線が爆発し逆転

■DeNA 8ー2 巨人(7日・横浜)

崖っぷちから劇的によみがえった。DeNAの宮國椋丞投手は7日、本拠地・横浜スタジアムでの古巣巨人戦に移籍後初登板初先発。5回7安打1四球2失点の力投で巨人時代の2017年7月12日・ヤクルト戦以来、1518日ぶりに勝利投手となった。

「信じられない気持ちでいっぱいです。ここまで多くの方々に支えていただいたので、感謝の気持ちをもってマウンドに上がりました」

宮國は試合後、本拠地のお立合いで顔を紅潮させた。「初回に2点を取られて、このままズルズルいくわけにいかないと、粘り強く投げることを心掛けました。投げられる喜び、マウンドに立てる喜びをかみしめながら投げていました」と感慨深げ。

ただ、ファンへのメッセージを求められると、「はじめまして、宮國です」と頭を下げて笑いを誘った。

師匠・菅野に2安打浴び「いいバッターでした」

昨季限りで10年間在籍した巨人を戦力外となり、12球団合同トライアウトに参加したが、NPB球団からのオファーはなかった。今年3月になってDeNAの入団テストを受けた上で育成契約を結び、2軍で実績を積んで、今季の新規契約期間(8月31日)ギリギリの8月30日に支配下登録を勝ち取ったばかり。DeNAではこの試合が1軍初登板で、29歳の再出発を飾った。

立ち上がりは不安いっぱいだった。初回、先頭の松原に左前打、二盗を許し、3番・吉川に左越え適時二塁打。続く岡本にも右中間フェンス直撃の適時打(二塁憤死)を浴びて、いきなり2点を奪われた。

しかし、右打者の内角をえぐるシュートと落差のあるフォークが決まり始め、徐々に調子を上げる。5回2死一、二塁のピンチは、吉川を内角低めのスライダーで左飛に仕留めて脱出。右拳を2度グラブに叩きつけ、控えめに喜びを表現した。

すると、1-2の1点ビハインドで迎えたその裏、味方打線が爆発する。巨人の先発でエースの菅野を攻略し一挙7得点。宮國はこの攻撃中に代打を送られて降板となった。

ちなみに、失点には絡まなかったが、相手投手の菅野に2安打を浴びた。宮國にとって3歳上の菅野は“師匠”の1人。シーズンオフにハワイで行われた菅野の自主トレに参加したこともある。「投げ合うこと自体、想像できなかった。途中でケガをされたのは心配」と、降板時に太ももを押さえるしぐさをしていた菅野を思いやった。「(菅野が打席に入った際に)会釈させていただきました」と明かし、2安打されたことには「いいバッターでした」と笑った。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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