子ども食堂に弁当無償提供 宮崎市「仄仄」

子どもたちに手作りした弁当を手渡す堀越春香店長(左)

 宮崎市橘通西3丁目の居酒屋「仄仄(ほのぼの)」は、店内飲食やテークアウトの売り上げの一部を活用し、これまで同市内の子ども食堂12カ所に弁当を無償提供している。新型コロナ禍による飲食客の減少で余った食材も利用することで、フードロスの削減にもつなげている。堀越春香店長(28)は「大変な今こそ一人でも笑顔になれることを続けたい」と話す。
 コロナ禍が続く中、「テークアウト品の購入などでお客さまに救われている。困っている人を助けることで恩返しできたら」と1月から始め、計約500食を提供した。県独自の緊急事態宣言による行動要請などで店内飲食が減少する中、新鮮な魚や肉、野菜などの廃棄も避けたかったという。
 十分おいしく食べられるうちにカルパッチョやギョーザなどを作り、店内やテークアウト向けに「フードシェアリングメニュー」として通常の半額程度で提供。また、テークアウトメニューには単品や弁当、オードブルがあり、売り上げの一部で箱や食材を調達し、手作りの弁当を子ども食堂に届けている。
 支援の輪が広がっており、都城市花繰町、江夏美奈子さん(34)は「自分の行為が子どもの笑顔につながることが分かる仕組みも素晴らしい」と賛同し、同市から買いに訪れている。生産者や取引業者からも「食材やおもちゃを提供したい」と申し出もある。
 同店を経営する品川健吾社長(43)は「子どもを取り巻く問題や地域での助け合いについて学ぶ貴重な機会になっている」と意義を語った。「まん延防止等重点措置」に伴い今月30日まではテークアウトだけの営業となる。同店(電話)0985(27)1156(正午~午後7時)。

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