激ヤセ金正恩「肥満治療薬」で“結果にコミット”か 外貨獲得のため自らステマ役

影武者説もあるが…(ロイター)

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(37)が9日未明、〝ライザップ級〟の痩身ぶりを民兵軍事パレードで披露した。〝別人に入れ替わった説〟や〝影武者説〟が出るほどの変わりようだ。

今年6月、今ほどでないが少しスリムになって公の場に現れた際、北朝鮮メディア「朝鮮中央テレビ」は地元民のこんな声を伝えた。

「あまりにもやつれた姿に平壌の全人民が悲しんでいる。自然と涙が出てくる」

この報道に対し韓国の情報機関・国家情報院は「約4か月間に渡る減量で10~20キロやせた」とし、病気で体重が落ちたのでなく健康だという見方を発表した。

正恩氏はかつてバスケットボールをプレーするスポーツマンだった。だが「革命活動」と呼ばれる政治活動があり、運動療法に集中するのは難しい。そんななか、「北朝鮮が開発したやせ薬の効能を自ら証明したのでは」と指摘するのは、民間の北朝鮮研究者だ。

北朝鮮は最近、複数の対外宣伝メディアで「肥満症治療薬」の開発や効果をことさら誇張していた。こうした経口薬の服用で正恩氏自ら〝結果にコミット〟。やせ薬を世界で売るための、壮大なステルスマーケティングではないかというのだ。

北朝鮮の情報サイト「ネナラ」は今年3月、驚異的なやせ薬の効果を紹介している。それによると、高麗医学総合病院の研究者が「黄金肥満丸薬」を開発。高麗医学で古くから使われる漢方薬のような原料をミックスし、電気針を使った鍼治療を併せて施術することで、96%以上の有効率を確認したという。

「平壌の27歳女性は、入院時89・4キロだった体重が20日ほどで83キロに減った」という実例も挙げている。

北朝鮮は昨年1月から、新型コロナウイルスの防疫を理由に中国やロシアとの国境を封鎖。経済は相変わらず疲弊している。それだけに前出の研究者は「偽バイアグラや覚醒剤、偽ドル札の密造でかつては外貨を得ていたが、各国の取り締まりが厳しくなり売れなくなった。やせ薬は高麗人参に匹敵する外貨獲得手段になるのでは。すっかり見違えた金正恩が事実上の広告塔となり、特に飽食の中国人を刺激するだろう」とみている。

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