【規制改革推進会議】コロナ抗原検査キット、規制改革会議側「薬局での取り扱いの方向には厚労省も異論がなかった」

【2021.09.10配信】内閣府は9月10日、規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ(第1回)」を開き、「新型コロナウィルス抗原検査キットの薬局等における販売について」が議論された。経団連やメーカーからは「OTC領域の理念に合致している製品」「アクセス向上のためにOTC化が重要」といった声が出たという。規制改革推進会議側は、「薬局での取り扱いをという大きな方向性については厚労省としても異論はなかったとの認識を持っている」としており、「会議と厚労省で意識を共有しつつ手法を検討していく」としていた。

「新型コロナウィルス抗原検査キットの薬局等における販売について」の議論では、日本経済団体連合会(経団連)やメーカーのアボット ダイアグノスティクス メディカルから提案や国内・海外情報の説明資料が提出された。

経団連は、積極的な検査の実施が必要と提案し、PCR検査を補完する抗原定性検査の拡充に向けた規制緩和を求めた。抗原定性検査について、有症状者に限らず広く活用を認めるべきで、より容易に検査にアクセスできるよう、厚生労働省承認の抗原簡易キットを薬局等で販売し、検体採取や測定を自身で行えるようにすべきとした。

アボット ダイアグノスティクス メディカルは海外の状況などを報告。海外では安全な社会・経済活動の再開を実現する手段の一つとして、抗原定性検査のメリット(低価格、迅速、簡易)を活かしたスキームによる大規模スクリーニング検査が活用されているとした。また海外では、抗原定性検査による大規模スクリーニング検査の展開にあたり、必要となる自己測定・判定も認める国が増えており、加えて、一般人が容易に検査へアクセスできるOTCを認める国も増えていると紹介した。
国内においても、海外同様に抗原定性検査によるスクリーニング検査を利用した安全な社会・経済活動の再開を実現するために、感染リスクを懸念する主体が抗原定性検査をスクリーニングで使用可
能な環境が必要とした。抗原定性検査の無症候者に対する(より柔軟な)使用や、抗原定性検査の自己による測定・判定ができる環境を求めた。加えて、更に国民全体の検査へのアクセスを高くするため、OTC化の検討も重要とした。

こうした提案に対して、厚労省は現状に関して、「発熱がある者などが、地域の身近な医療機関で、迅速・スムーズに検査できる体制を整備しており、あわせて、職場等における感染対策を進める観点から、職場で、症状がでた場合に、直ちに受診ができない場合等に検査を受けて頂けるよう、抗原簡易キットの活用を推進している」と説明。
また、抗原簡易キットに関しては、有症状者に対し、その場で簡便かつ迅速に(30分程度)検査結果を判明することが可能な一方、新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針(国立感染症研究所、日本感染症学会、日本環境感染学会、厚生労働省等)では、無症状者に対しては、他の検査と比較し感度が低下するため推奨されないとされていると説明した。
現状は抗原簡易キットは医療用医薬品であり、薬機法等において、通常、販売先が医療機関等に限られているが、職場で、医療機関と連携し、抗原簡易キットを直接入手可能とするとともに、職場からの問合せに対応可能な、医薬品卸売販売業者等のリストを公表する等の取組を実施しているとした。また、当該キットを活用した検査を行うに当たっては、検体採取や結果の判読を適切に実施するための対応(研修を受けた従業員のもと、検体を自己採取する)や、陽性の場合に医療機関の受診を求める(医療機関は、新型コロナの感染が確認された場合は保健所に届出)ことに加え、偽陰性の場合も念頭においた対応(管理者は、基本的な感染対策を継続するとともに、検査後、医療機関の受診を求める)を求め、検査の質の確保や、適切な診療・診断につないでいるところとした。

その上で、今後に関しては、「検査の質の確保や適切な診療・診断につなぐことを担保しつつ、抗原簡易キットを入手しやすくするような方策について、関係者の意見を聞きながら検討する」とした。

河野太郎大臣や規制改革推進会議も、「感染症の問題のため、迅速な対応を」との声が強かったというが、「いつまでに」「OTC化で」などの時期や手法について明確な方向性は示されなかったようだ。

一方、規制改革推進会議側は、「薬局での取り扱いをという大きな方向性については厚労省としても異論はなかったとの認識を持っている」としており、「会議と厚労省で意識を共有しつつ手法を検討していく」としていた。

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