阪神・佐藤輝のメールに見えた成長 プロ初二軍落ちも恩師は「不安なし」

プロ初二軍行きとなった佐藤輝に恩師は…(東スポWeb)

阪神・佐藤輝明内野手(22)が10日に出場選手登録を抹消された。35打席連続無安打と大スランプに苦しんでいた背番号8は当面、ファームで再調整することに。プロ初の二軍落ちを経験することになったが、母校・近大野球部の恩師・田中秀昌監督(64)は「心配なし」の構えを強調。巻き返しに向け、牙を研ぎ直すことになった教え子へエールを送った。

この日の広島戦(マツダ)終了後、矢野監督は「本人とも直接話した。ヘコむことなんて何もない。アイツの野球人生なんてまだ第一歩を踏み出したとこなんだから。このまま一軍に置いておくよりも、ファームで打席数に多く立って早く戻ってきた方が本人のためにもなる」と佐藤輝の登録抹消について言及。同日に鳴尾浜球場に姿を現し、ランニング、シートノックなどで汗を流した佐藤輝本人も「落ちてしまった悔しさはありますが、これをまた成長できるチャンスだと思いたい」と今回の抹消についてはポジティブに捉えている様子だ。

高校時代はまったくの無名選手だった佐藤輝を、4年間かけて「規格外男」にまで育て上げた母校・近大野球部の恩師・田中秀昌監督(64)も同様の見解だ。「(二軍行きは)もう少し早くてもいいかなと思ったんですがね。それでもいい時期に落としてくれたと思っています。阪神のファームはこれから16日まで地元・甲子園で二軍戦が続く。遠征等もありませんし練習時間もしっかり確保できるでしょう。マイペースなタイプではありますが、練習に対しては大変熱心な男です。正直、技術的なスランプに陥っているようにはそれほど見えません。疲れや(不慣れな)代打などで結果がでないことによるプレッシャーなどが、わずかなズレを生んでいるのではないかと思います」と柔和な表情で教え子を思いやる。

阪神のファームにはもう一人〝愛弟子〟がいる。大阪・上宮高で監督を務めていた当時の教え子・中村豊ファーム外野守備走塁コーチ(48)だ。佐藤輝抹消の報を聞き、すぐに「『よろしく頼むぞ』といった趣旨のメールを中村に送ったのですが『大丈夫ですよ。全然落ち込んでもいませんし練習も頑張っていました』とのことでした」と明かす。

「佐藤にも何度となくメールは送っています。マイペースな男なので返信は期待していなかったのですが『監督もコロナに気をつけてください』なんて返されましてね。いつの間にそんな心遣いができるようになったんやと(笑い)。ポストシーズンも含めまだまだ戦いは続きます。最後に矢野監督を胴上げできるように、今はしっかりファームで体のキレを取り戻してほしい」とシーズン最終盤の巻き返しに期待を寄せた田中監督。名伯楽らしい落ち着いた様子で〝我が子〟を見守っていた。

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