阪神・佐藤輝はファームで何をすべきか? 田中幸雄氏が期待する首脳陣の「アメ」と「ムチ」

ファームでやるべきことは?(東スポWeb)

プロ初の抹消となった阪神・佐藤輝明内野手(22)はファームで何をすべきか。かつて日本ハムの二軍監督として、こういったケースの対応経験を持つ田中幸雄氏(評論家)に聞いた。

同氏は「数字を見る限り、この後も上で必ず使うことが前提の選手」と新人ながら、佐藤輝がすでに一軍で23本塁打を放っていることに着目。

「もちろん追い込んで、振り込んで、との目的もあるんだろうけど、新人とはいえ、状態が良ければ一軍である程度できるのは、もう見せた。ひとまず体の疲れや、ハリを取ることを最優先にするのも手と思います」

降格後、数日はバットを持たず、コンディショニング重視で、心身のリフレッシュを図れば「そのあとに(再び)スイングしたときの感覚は全然違う。それだけ、打てないときや結果が出ないときは体も凝り固まり、無駄なところに力も入り、知らず知らずに打撃フォームも崩れてってのは、よくある話」。不調の原因が体力面やメンタルに起因していれば、ある程度このアプローチで改善が期待できるという。

もちろん〝緩める〟ことが降格期間中のすべてではない。もう一つのミッションはできるだけ多くの打席に立ち、本来の豪快な打撃を戻すこと。11日から甲子園で計5試合予定されている二軍公式戦で、連日、フル出場することである程度、まとまった打席数も確保される見込みだが「1試合ぐらいは変化をつける日があってもいいかもしれない」と提案する。

「再び一軍で、スタメンという試合もあるだろうけど、一度でも二軍に落ちたってことは、レギュラーではない。代打とか、途中出場から何ができるのか? っていう訓練もやっておくべきと思います」

一軍再招集後は、立場的には、スタメンを目指す一野手に過ぎない。降格直前、ベンチ要員が多くなった佐藤輝のことを矢野監督も「(出場機会は)奪い取ればいい」と話していたように、再昇格後も、起用法は多岐にわたる可能性が大きいことを見越してのものだ。

35打席連続無安打のスランプで二軍降格の決断を下した一軍首脳陣もVを目指す戦力として、今後も佐藤輝の力を必要としていることは間違いない。有期限となりそうな二軍で、アメとムチのメリハリは怪物再生の鍵を握ることになりそうだ。

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