佐藤輝2軍落ちでセ新人王争いの行方は? チームへの貢献度で見る最有力候補

阪神・佐藤輝明の2軍降格でセ新人王はどうなる?【写真:荒川祐史】

新人王の候補と目されるのは佐藤輝、栗林、牧の3人

阪神のドラフト1位ルーキー佐藤輝明内野手が10日、プロ入り後初めて2軍降格となった。開幕スタメン入りを果たすと、本塁打を量産。ここまで23本塁打を放ち、75年ぶりに新人左打者の最多本塁打記録を更新。球団新人の最多本塁打記録も52年ぶりに塗り替えたが、8月下旬から打撃の状態が急降下。13試合35打席連続ノーヒットとなり、9月10日に出場選手登録を抹消された。

佐藤輝の2軍降格でその行方が混沌としてくるのが、セ・リーグの新人王争いだ。驚異的なペースで本塁打を量産していた前半戦では佐藤輝が新人王の筆頭候補と見られていたが、後半戦の失速で状況は厳しくならざるを得ないだろう。

佐藤輝とともに、筆頭候補と目されているのが広島の守護神を任されているドラフト1位右腕・栗林良吏投手。今季はここまで39試合に登板して0勝1敗23セーブ、自責点はわずかに2で、防御率は驚異の0.47をマークしている。もう1人の候補となるDeNAの牧秀悟内野手は102試合に出場して打率.279、16本塁打52打点。打率、安打数では佐藤輝を上回っており、DeNAの貴重な戦力となっている。

では、この3選手の貢献度をセイバーメトリクスの指標である「WAR」で比較してみたい。「WAR」は代替可能な控え選手が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかで計算される。この指標はセイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社デルタのデータを用いる。なお、セ・リーグで最も「WAR」が高いのは、野手が鈴木誠也外野手(広島、5.7)、投手は柳裕也(中日、4.1)となっている。

リリーフ投手では12球団トップタイのWARを記録する栗林

では、新人王候補の3人を見ていこう。

まず佐藤輝だ。ここまで374打数95安打の打率.254、23本塁打60打点の成績をマークし、WARは1.4。代替可能選手に比べて、1.4勝増やしたとされる。同じ打者の牧のここまでのWARは1.3。同一リーグ内の野手では巨人の吉川尚輝内野手やDeNAの宮崎敏郎内野手、阪神の梅野隆太郎捕手らと同水準となる。

では栗林はどうだろう。ここまで23セーブをマークし、防御率0.47と驚異的な数字をマークする右腕のWARは1.7。パッと見は佐藤輝、牧と大きな差がないようにも見えるが、栗林はリリーフ。イニング数が少ないリリーフのWARはどうしても打者や先発は低くなる傾向がある。

リリーフでWAR1.7は西武の平良海馬投手と並び、セパ両リーグを通じてトップタイ。同水準にはDeNAの今永昇太投手や中日の福谷浩司投手、チームメートの森下暢仁投手ら各球団の先発ローテ投手が並ぶ。それだけ栗林の貢献度は高いと言える。

今後の活躍次第でこのWARも変動することになるが、現状の貢献度で言えば、栗林が最も新人王に相応しい存在と言える。5年以上の取材経験のある新聞社、通信社、放送局のプロ野球担当記者の投票によって決まる新人王。最終的にこの栄冠を手にするのは誰になるだろうか。(Full-Count編集部)

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