韓国紙「韓国の負債急増は南欧危機時より深刻」「文大統領の不動産政策失敗に原因」

韓国紙が、同国の家計負債が急増していることから、ギリシャなど南欧のような経済危機を迎える可能性を危惧している。

朝鮮日報は10日、チョ・ギョンヨプ韓国経済研究院経済研究室長へのインタビュー記事『文大統領、住宅政策失敗で南欧型経済危機兆候』を掲載し、韓国の家計負債が南欧経済危機の時よりも深刻であると指摘した。

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チョ室長は、2010年に財政危機を起こした南欧諸国(ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリア)と韓国の現状を比較。南欧4カ国の当時民間債務(家計負債+企業負債)が2005〜2009年の5年間で29%増加したのに対し、韓国の民間債務は(2016~2020年に)33.2%増加したとことから、「財政危機直前の南欧諸国よりも民間債務の状況がより深刻である」と警鐘を鳴らした。

負債危機はどのような形で起こるかとの朝鮮日報の質問に対し、チョ室長は「南欧のケースをみると負債危機は瞬間的に来る」とし、「外国人投資家は、政府や民間部門で投資回収が危険であると考えると、急にお金を抜く」と指摘。そのような国は外国資本を留めるため高い金利を設定するが、投資家は無視すると説明した。

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韓国経済の基礎指標は南欧よりも良いとの同紙指摘に対しチョ室長は、「もちろん南欧よりファンダメンタルズは良い」としつつ、「しかし、負債危機は瞬間的に発生して、金融会社が脆弱階層から資金を回収し始め、脆弱階層のダメージが金融機関と実体経済に順番に移動していく」と説明。「民間債務と韓国政府の負債の増加速度や質的側面を見ると、私たちが南欧諸国より安心できるとは思わない」と分析した。

チョ室長は、この1年間が勝負になるとし、その間の家計負債の整理を促しつつ、政権末期であり大統領選があることで政策が遅れる可能性について「今後1年の債務危機管理が非常に重要な時期なのに、心配だ」と吐露している。

チョ室長は先日、韓国経済研究院から分析レポートを出発表し、韓国の家計負債の増加速度が主要国の中で圧倒的な1位であることを指摘。住宅価格が高騰し、若い世代が住宅を購入するために「霊引ローン」(魂まで担保に取られ融資を受ける)という言葉まで出現するのは、コロナ下で自営業者が資金借り入れを増やしていることが主な原因であると分析した。

チョ室長は「ここ数年の家計負債の急増は、ムン・ジェイン(文在寅)大統領の不動産政策の失敗に一次的な原因がある」とし「米国が金利を引き上げる可能性がある、今後1年家計負債管理の節目になるだろう」と予想した。

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