新型ランドクルーザー300で車中泊は厳しかった! 複雑なシート段差が生じフラットな床面確保が難しい

世界中の道なき道を突き進むことが出来る最強の四輪駆動車「ランドクルーザー」。その最新モデルである新型ランドクルーザー300に試乗した。といっても悪路やオンロードでの走行性能を試したのではない。そちらは評論家先生のインプレッションにお任せし、筆者が実車でチェックしたのは「寝心地」だ!車中泊ブームの昨今、最も気になる車中泊性能を調べたところ、以外にも新型ランドクルーザー300は車中泊には不向きであることが分かった。身長180cmの筆者が実際に寝てみて確かめた、新型ランドクルーザー300の車中泊性能をご紹介しよう。

トヨタ 新型ランドクルーザー300 [VX(ディーゼル)/5人乗り/ボディカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン]

床面に大きな段差! ランクル300の荷室は広大だが車中泊には向いていない!?

サードシートはフラットに床へ収納出来るが、その分段差が生じているのがわかる。またセカンドシートの背もたれと座面分の厚みがかなりあり、荷室長は1680mmしか確保できない[Photo:TOYOTA]

まずは写真をご覧いただきたい。トヨタ 新型ランドクルーザー300はセカンドシートが座面ごとごっそり前倒しできるダブルフォールディング機構が備わる(セカンドシートタンブル)。これにより、広大な荷室空間が広がる。

ただしトヨタ社内の測定値では、セカンドシート底面からラゲッジのバックドアまでの長さは1680mm。身長180cmだと縦に寝ることが出来ない。セカンドシートのボリュームがかさむ分、荷室長に影響を及ぼしているのだ。

また写真の通り、サードシート収納部とセカンドシート床面との段差が生じてしまうのも難点である。

セカンドシートを単に前倒ししただけだとやはり背もたれ分の段差が乗じてしまうが、前席背面からバックドアまで最大2メートルほどの荷室長が確保出来るのは嬉しい

そこで、セカンドシートの背もたれを前倒ししただけの状態で見てみよう。

運転席・助手席を一番前に出した状態でのシート背面からバックドアまでの長さは2070mmが確保される(トヨタ社内測定値)。

セカンドシートを前倒しした状態で寝てみたが…段差がキツくてそのままでは眠れない

一見すると穏やかに寝ているように見えるが、実際は苦痛に耐えている(笑)。ちょうど腰から背中の部分に段差がくるのだ。

さっそく、セカンドシートの背もたれを前倒ししただけの状態で寝てみることにした。写真の通り、一見すると穏やかに寝ているように見えるが、実際はかなりキツい。背の肩甲骨下くらいから腰、そしてお尻にかけての辺りに段差がくる。これでは無理だ。

足が上がるほうがまだいくらか寝やすいが…

逆向きならまだなんとかなりそうだ。大人2名でも寝ることが出来る幅もある。最大幅で1395mm、最小幅は1095mmが確保される。

そんな訳で、新型ランドクルーザー300での車中泊は、空気で膨らむキャンプ用マットを用意したうえで、自前で板などを用意し段差を埋める工夫が必要となる。「やれなくはないが、ちょっとばかり面倒」というのが本音だ。

写真は5人乗り仕様

ちなみに5人乗り(2列シート)仕様ならサードシート収納分の段差は生じないため、2名乗車時の荷室は床面がフラットである点をお伝えしておきたい。ただし前述の通り荷室長は1680mmしかないので、身長180cmの人の場合は斜めで寝るしかないのと、セカンドシートの背もたれを前倒ししただけの状態では、3列シート車よりさらに厳しい段差が生じることをお忘れなく。

車中泊用ベッドキット発売を期待! オリジナルで製造依頼が可能なメーカーもある

ベッドキットはベッド下に荷室空間が確保できる点も大きなメリットだ。写真は「ランドクルーザー100」用ベッドキット[FLEX]

従来型のランドクルーザーでは、サードパーティ製でベッドキットが発売されている例がある。

車中泊する際には、身の回りのものや荷室の荷物をどかさなくてはならない。思い立って寝ようとした際などにはこれが地味に手間となるものだ。それもこうしたベッドキットがあればベッド面の下に荷室スペースが確保されるから、荷物はそのままで済む。ベッドキットは車中泊派にとっての救世主なのだ。

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なおネットで検索すると、オリジナルで車種専用のベッドキットを製作してくれるメーカーが複数ヒットする。ランドクルーザー300オーナーのみならず、車中泊に興味がある方は相談してみると良いだろう。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:島村 栄二・トヨタ・FLEX]

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