【秋場所】新横綱・照ノ富士 逸ノ城下し白星発進 “一人横綱”も「緊張はないです」

土俵入りも堂々とこなした照ノ富士

大相撲秋場所初日(12日、東京・両国国技館)、新横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)は小結逸ノ城(28=湊)を寄り切って白星発進。踏み込んで左前みつを取ると、右を差してそのまま土俵外に退けた。相手に何もさせない完勝に取組後は「よかったです」と納得の表情だった。

今場所は白鵬が部屋の力士のコロナ感染により全休。いきなり〝一人横綱〟として迎えた照ノ富士は綱土俵入りこそ「思ったより雰囲気に慣れなかった」と振り返るが、精神面は「緊張? 特にないですね。日頃からやってきたことを信じて一生懸命やるだけ」と、平常心を保っていたという。この日の一番は土俵下の藤島審判長(49=元大関武双山)も「まさに横綱相撲だった」とうなずいたほどだ。

番付の頂点に立つまで死にもの狂いの日々だった。ヒザの故障や内臓疾患などで一時は序二段まで転落。「引退」の2文字が頭をよぎったこともあるが、師匠の伊勢ヶ浜親方(61=元横綱旭富士)の説得や周囲のサポートで大関復帰を果たすと、わずか2場所で横綱昇進を決めた。

そんな照ノ富士は場所前、伝達式で口にした「不動心」と「品格」への思いを語っていた。

「下に落ちて上がって来るときも一日一日必死にやってきた。その気持ちは変わらないので、これからもやっていこうということで『不動心』を入れましたし、『品格』は人それぞれ考え方も違うと思う。品格は〝こういうものだ〟というのもないだろうし、だからこそ自分の生き方で証明していきたい」

この日は正代、貴景勝の大関陣が黒星を喫したものの、照ノ富士は「責任を持って土俵に上がらないといけない。(15日間)精いっぱいやっていきたいと思います」と気を引き締める。新横綱として千秋楽まで先頭を走り続けるつもりだ。

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