【セントウルS】レシステンシア満点の前哨戦 ルメールも感情を爆発 

快速娘レシステンシアが持ち前のスピードを遺憾なく発揮した(東スポWeb)

12日に中京競馬場で行われたGⅡセントウルS(3歳上、芝1200メートル=サマースプリントシリーズ最終戦)は、好位から直線で抜け出したレシステンシア(牝4・松下)が追いすがるピクシーナイトを振り切ってV。2度目のスプリント戦挑戦できっちり結果を出してみせた。前哨戦を満点クリアしたことで、秋のスプリント王決定戦・スプリンターズSに向けて大きく弾みがついた形。その“収穫”の中身を振り返ろう。

2着ピクシーナイトの猛烈な追い上げをしのいで快勝。よほどうれしかったのか、手綱を取ったルメールはレース後、馬上で派手なガッツポーズを繰り出し、相棒の体を何度も叩いて激走をねぎらうなど、珍しく感情を爆発させた。着差はわずかクビ。それでもレースを最初から最後まで完全支配していたのはレシステンシア。“僅差の完勝”というのが大方の意見だろう。

抜群のスタートを決めたものの、内からシャンデリアムーンが遮二無二行く姿勢を見せたことで、ハナを譲って2番手から。3ハロン通過32秒9のハイラップを楽々追走し、直線半ばで悠然と追い出しを開始。みるみる後続を引き離した。ゴール直前、ピクシーナイトの気配を察知したルメールに左ステッキで気合をつけられると、さらにもうひと伸びしてみせた。

レース後のインタビューで「ギリギリセーフ」とおどけたルメールだが、「すごく速いスタートが決まって、前のポジションを取れたことが良かったですね」と勝因を分析。「3~4コーナーで逃げ馬の後ろで息も入れられたし、直線で(逃げ馬の)外に出してからもすごくいい脚を使ってくれました」と満点のレースぶりを振り返った。

同舞台だった今春のGⅠ高松宮記念では2着。中団で終始勝ち馬ダノンスマッシュにマークされ、最後の最後で内をすくわれクビ差前に出られる悔しい負け方だった。対照的に今回はスタートから安心感たっぷりのレース運び。松下調教師も「高松宮記念よりも楽にポジションが取れたし、2回目の1200メートルで競馬の内容は確実に向上しましたね」と確かな成長を認めている。

何より実りがあったのは“引き出し”が増えたことだ。「すぐ横に馬を置いて運んだのは初めてじゃないかな。逃げ馬の後ろで息も入れられたし、本番は行きたい馬も多いだろうから、今回のような競馬を経験できたのは良かったですね」。厳しい戦いとなるであろう次のGⅠスプリンターズSでは予想外のことも起こり得る。そんな時、柔軟性が何より武器になるのだ。
「中山コースに不安はないですよ。それよりも中2週ですからしっかりと疲れを取って競馬に臨まなければ」と松下師。その脳裏には阪神JFに続く2度目のビッグタイトルがはっきりとイメージされているようだ。

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