【カーリング】奇跡逆転で五輪最終予選の日本代表に! ロコ・ソラーレ藤沢五月の〝負けん気〟過去証言

日本代表に決まり、喜ぶロコ・ソラーレの藤沢五月(中央右)ら=代表撮影

負けん気が奇跡を引き寄せた。来年の北京五輪へ向けたカーリング女子日本代表決定戦(12日、北海道・稚内市みどりスポーツパーク)、第5試合が行われ、2018年平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレ(LS)が北海道銀行に8―6で勝利。通算成績を3勝2敗とし、北京五輪切符をかけた世界最終予選(12月、オランダ)の代表権を獲得した。2連敗と追い込まれてからの大逆転を呼び込んだ裏側には、笑顔でチームをけん引したスキップ・藤沢五月(30)の強い覚悟があった。

熱戦に終止符を打ったのは藤沢だった。7―6と1点リードで迎えた第10エンド(E)の最終投は、ミスをすれば逆転負けとなる場面。「いやー、緊張しました」と振り返りながらも、きっちりとハウス中央に石を寄せた。試合後には「投げる前に時間もたっぷりみんなが残してくれたので、どれくらいのウエイト(石の勢い)で投げればいいのかを確認できた」と感謝の言葉を口にした。

負けたくない――。この一心で最後まで戦い抜いた。2月の日本選手権では、決勝で北海道銀行に敗戦。世界選手権の代表を逃した。しかし、1998年長野五輪女子代表の大沢明美氏は「LSの選手たちは子供のころから負けず嫌いの部分が出ていた。特に藤沢選手と吉田知那美選手は負けず嫌いが垣間見える選手だった」と証言。

司令塔の藤沢は、誰よりも高い意識で練習に取り組んできた。氷上練習の際には最後にチームで行うドローショット対決で、常に本番をイメージ。「投げる前に『これはこういう試合の10E目、決めれば勝ち、ミスれば負け』っていうのをずっと想像していた。個人練習もやってドローのウエイトの感覚だけは絶対に自分で見失わないようにしようと思った」

第2試合では第10Eの最終投でミスが出てしまい、勝ち星を逃した。大粒の涙を流したものの、最後の最後で努力の成果を発揮。「2試合目にできなかった悔しさを最後の試合、最後のショットで決められたのは本当によかったなと思う」と満面の笑みを浮かべた。

今後は世界最終予選で上位3チームに入れば、北京五輪への出場が確定する。厳しい戦いが予想されるとはいえ、藤沢に悲観する様子は見られない。「オランダに行ったことがないので、めちゃくちゃ楽しみ。対戦相手の中に平昌五輪(の準決勝)で戦った韓国のチームや3位決定戦で戦った英国のチームがいるのは、これもまた運命だと思うので、私たちのいい運命に変えていきたい」

崖っ縁から望みをつないだLSの逆襲劇は、まだ始まったばかりだ。

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