五島で特殊詐欺相談が急増 「通話録音装置」の設置呼び掛ける

五島市消費生活センターが設置を勧める自動通話録音装置

 長崎県五島市消費生活センターのまとめによると、今年4~8月に受けた相談のうち、市職員をかたった還付金詐欺など特殊詐欺に関する相談が18件寄せられ、過去5年で最多ペースで推移していることが分かった。被害も出ており、同センターは自動通話録音装置の設置を呼び掛けるなど注意を促している。
 市市民課によると、内訳は、還付金詐欺が最も多く7件。「市役所の介護担当から介護保険の還付があると言われ、現金自動預払機(ATM)に誘導された」(70代女性)、「市役所から年金の払い戻しがあると不審な電話があった」(高齢者)など、いずれも市職員を名乗る人物からの電話だった。中には、介護保険の還付があると電話を受けた60代女性が50万円を送金した被害報告もあった。
 特殊詐欺関連ではほかに、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)に有料サイト料金の未払いがあるなどという「不審メール」が4件、高額な当選金の引き換え名目で手数料を支払わせようとする「当選メール」が3件-など。20~30代の相談もあった。

五島市消費生活センターの特殊詐欺関連の相談件数

 同センターの全体の相談件数は、最近二百数十件で推移。このうち特殊詐欺関連は統計が残る2011年度以降、投資詐欺や出会い系サイトが目立った15年度の31件が最多。直近5年では17年度の16件が最も多く、19、20年度はいずれも3件だった。今年、県内での特殊詐欺被害が増えているのに比例して相談件数も急増しており、市民課は「新型コロナで在宅時間が増えたことも一因ではないか」とみている。
 市は、被害を未然に防ごうと、65歳以上の高齢者ら被害に遭う恐れがある世帯に、無償で貸し出す自動通話録音装置の設置を勧めている。17年度以降、計107台貸与し、これらの世帯からの被害報告はない。
 同センターは「職員を名乗る不審な電話は、いったん切って、市役所に内容や人物が実在するのか確認してほしい。おかしな電話やメールがあれば、センターや家族、警察に相談してほしい」と呼び掛ける。

© 株式会社長崎新聞社