本田圭佑に飛び火?電撃入団スドゥバのスポンサー契約に〝重大疑惑〟浮上

本田圭佑

元日本代表MF本田圭佑(35)が電撃入団したリトアニア1部スドゥバに〝重大疑惑〟が浮上している。本田を迎え入れて大きな注目を集める一方で、現地ではピッチ外でも渦中のクラブとなっているのだ。メインスポンサーの中国企業が新疆ウイグル自治区の人権侵害問題に関与した疑いで批判を浴びており、今後の状況次第では本田も騒動に巻き込まれる可能性が出てきた。

スドゥバへの入団を決めた本田は目標に「試合数ぶんの得点数。1試合1点」と高いハードルを掲げ、新天地での活躍に強い意欲を見せた。スドゥバは現在、リーグ戦で首位を走る強豪クラブ。しかし、ピッチ外ではある騒動が持ち上がっている。

クラブは昨年、監視カメラやレコーダーを扱うメーカーの中国企業「ハイクビジョン」と最上位スポンサーであるゼネラルスポンサー契約を締結した。そんな中、現地では同社が〝いわくつき〟だと指摘する声が上がっているのだ。

リトアニアの公共放送局「LRT」は同社について「スドゥバは、ウイグル人の弾圧に関与している中国の監視機器メーカーと契約した」と疑惑を提起。「マリヤンポレスタジアム(本拠地)にその企業名を付けることは、中国政府によって抑圧されている人々の顔に唾を吐くことになるだろう」と厳しく非難した。

同局によると、ハイクビジョンは中国政府が実質的に所有する半官半民の企業。昨年11月には米国政府が中国人民解放軍とのつながりを指摘して投資を禁じる企業のリストに入れ、今年3月には米連邦通信委員会(FCC)が同社のサービスに対して「米国の国家安全保障に容認できないリスクをもたらす」と警告した。

スドゥバが同社と契約した際には、リトアニア政界からも反対の声が噴出。マンタス・アドメナス外務副大臣が「ここは中国の国営企業であり、その技術は中国の反体制派やウイグル人など数百万人が送還された収容所で、そうした人々を迫害するための監視などに使用されている」と追及。さらに「スタジアムに〝グラグ(旧ソ連の強制労働収容所)〟または〝ゲシュタポ(ナチスドイツの国家秘密警察)〟という名前を付けるようなものだ」と激しく非難した。

こうした批判に対して当時、スドゥバのムラウスカス会長は「この契約は同社のリトアニア部門とサインしたもので(同社は)欧州の他のスポーツチームも後援しているので問題はない。同社のリトアニアで販売されている製品を宣伝しているだけだ。私は中国政府との関係については見ていない」と反論。中国政府による新疆ウイグル自治区の人権問題とは無関係だと主張した。

ただ、アドメナス外務副大臣がこの問題を重く見ていることもあり、リトアニア外務省は昨年に公式見解を発表。その際には「ハイクビジョンは欧州連合(EU)の制裁下にはないため、スドゥバのスポンサー契約は合法」とする一方で「だが推奨はできない」と微妙なニュアンスを含め、疑惑の完全否定には至らなかった。

世界的に有名な選手である本田の加入により、この問題が再びクローズアップされる可能性もあり、今後の展開次第では本人に火の粉が降りかかってきてもおかしくない。プレーに支障が出なければいいのだが…。

© 株式会社東京スポーツ新聞社